short**krk

□口癖の悪い男
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誰もいない部活後の体育館に響く。



「うっせぇこら!轢くぞ!締めんぞ!」


「はっ、ああああ?!なんであたしがそんなことまで言われなきゃなんないのよ!」


「元はと言えばてめーがドリンク剤入れ間違えたのが悪ぃんだろーが!」


「だからってそれ以上のこと言う?!だいったい、もっと個人見ろとかレギュラーでもないあんたに言われたくないんですけど!」


「っ、」



宮地清志、この男が努力家なのは知っている。

たぶん、いや絶対、彼は次のレギュラー決めのときに選ばれるだろう。


だけどマネージャーをまるで雑用とでも思っているその態度にむかついて。

一番触れてほしくないであろう話に持ち込んだ。



それは彼の地雷だった。



「なに?言い返せないでしょ。」

ちがう、こんなこと言いたくない。


「人のこと言う前にもっと自分の努力したら?」

ちがうちがう、彼はすごく努力してるの。
あたしがそれを一番知っているのに。



「っせぇよ、殺すぞ。」


いつもより声に力がなくて。

本当に見た目だけは不良じみていて、人を一人殺してそうなその目は、今は別人のように濁っていた。



こんな顔をさせたいわけじゃないのに。



「ちっ、お前もう帰れよ。」

外を見て宮地が言った。

もう暗い。



「言われなくても。」

あたし、本当にかわいくない。












荷物をまとめて外にでる。

きっとこれから練習するんだろうなぁ、宮地。


あたしの一言がどれだけあいつの胸にささったんだろう。

「…やっぱり言い過ぎた。謝る。」


無意識にそう呟いて、体育館へ戻った。


ダムダム、と規則的な音をたてているあたり、ほんとうに一人で練習している。



バレないようにそっと、ずっと、宮地を見ていた。
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