short**magi

□愛情
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「おーい。サラー!!」


「お??」



振り向かなくてもわかる。
シャルルカン。
わたしの愛しい人。

…ごめん、黙るよ。


まだ告白とかしてないし、するつもりもないんだ。
だって彼はこの国を守る責任のある人だし、なによりヤムライハちゃんと仲がいいし…。



「なあに?」

それでも毎回、わたしが書類の整理をしているときに声をかけてくれるから、ついつい頬がゆるんでしまうよ。


「っ?!」

…振り返ったらいつもより露出の多いシャルルカン。
え、待って。

ごちそうさまです。




じゃなくて!!


「ちょっと、このバカっあんたなんて格好してんのよ!」

「はあ?」

「はあ?じゃない!そんな恰好で歩かない!」

「いやだって稽古してて汗びっちゃになっちまったんだから仕方ねーだろ?」

「じゃあ着替えてから来なさい!」

「おふくろかよ、おめー!!」


げらげらと大笑いする男を凝視しないようにしているわたしの身にもなれ。
なってくれ。



「え、なに。顔あけーけど?」

今度はにやにやしだしたよこいつ。

「赤くないです。」

「うっそつけー!」

「小学生男子か!」

ああ、楽しい。



わたしはこの時間が大好きなんだ。




「ちょっとー、なに騒いでるのー?」

あ、ヤムライハちゃん。

「うわ!あんたなんて格好してんのよ消えて!」

「ひでえ!」


少しだけ寂しいけれど、でもね、楽しいんだよ。
わたしは2人とも大好きだから、さ。



「なんとか言えよ、サラ。」

「ふふ、まあいいじゃん、それでこそシャルルカン。」

「そうね、サラちゃん。」

「お、ヤムライハ、そういや我らが長が魔法防御の話でお前のこと探してた、気がするってもういねえ…」

ヤムライハちゃん行動はやいなあ…




はあ、今日ももう夕暮れか…
また1日たったね。

「…。」

「ん?なに?シャルルカン。」

そんな見つめられると照れるーなんちゃってね。


「お前さ、あんま無理すんなよ。人間、必要以上に気張ることねーよ。」

「…。」



これだから、こいつには捕らわれてばっかだよ。

じゃあな、といってわたしの頭を軽くなで、また稽古に戻ったであろう彼のことを考える。

大好きだ。



好きだ。


好きだよ、シャルルカン。





この想いはもしかしたら、もう抑えることができないかもしれない。


愛情。

(好きでもねー女の頭、なでたりしねーよ)

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