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□星になった
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こうなる前にどうして一言、いっておかなかったんだろう。
今更考えたってもう遅いのに。
彼はもう二度と、ここへは戻ってこないのに。
別に意識してなんていないけれど、何故か兄貴分になっているあなたが好きだった。
いつも困ったように笑うけど、自分のことなんてほとんど人に話さない。
彼の家族がどこで、どんな風に死んでいったのかを、もっと早くに聞いておけば良かったんだ。
そしたらこんなことは、防げたかもしれない。
いいや、彼はきっとそれでも前に進むんだろう。
残された自分がしなくてはいけないことだと思いこんで。
「ろっくおんっ、ろっくおんっ、ろっくおんっ」
コクピットの中でハロが叫んでいる。
ハロ、あなたは彼の最期を見たんだものね。
「ロック、オン…」
彼は最期に、笑って逝ったのだろうか。
ああ、神様。
願うことなら。
星になった。
(敵討ちなんて、ばかな人。)