long**キセキと妄想女子
□さん。
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花城百合、という女は学校内では有名なやつだ。
その端正な顔に細過ぎず、太過ぎないスタイル。
そして何より滑らかな肌。
男は無意識に肌に目がいく。
柔らかそうか、そうではないか。
だが俺の認識は間違っていたらしい。
たしかに、たしかにこいつは思わず頬を染めてしまうような女だが、完璧にイタい女だ。
それはみんなが知っているわけではなく、俺だって先ほど彼女に衝撃の告白をうけて知ったのである。
「さ、さつきちゃんに!!ブスって言いましたよね?だめだよ、あんな可憐な女の子にそんな口聞いちゃあ!言うならわたしに言って?」
「いや、なんか違うと思う特に最後。」
こいつの一つ一つの言葉は、ツッコミどころが満載だ。
俺にどうしろって言うんだ。
ブスなんて言葉のあやで、普段面と向かって女子に言える言葉ではない。
「あー、なんだ、その。
お前、俺のどこがタイプなんだよ。」
とりあえず根本から聞いてみる。
「え?!そ、それは…
(目が鋭くて悪人面、身長が高いからかもとからの性格故なのか見下ろしてくるような表情、筋肉質な体、物騒な物言い、不良ちっくな面構え、)……全部です…!!」
「あれ、あんま嬉しくないな。なんでだ。」
何か貶された気分だ。
「とにかく!わたしと付き合って欲しいんです!もうびびっと来たんです青峰くんを見た瞬間!あ、でもでも!さつきちゃんとそういう仲なら邪魔はしませんもちろん!あんな、美少女を悲しませんことなんてできないいい!それならそれで、陰ながらいつもあなたを見ておこうと思います!そしてさつきちゃんに対する数々の暴言がわたしに向いていると妄想…いえ、想像して…!!ああ!たまんない!」
「ま、待て、待て待て!超こえぇよなんだよこいつ誰か助けろよ!」
「あのそれで、どうなのかな…付き合ってくれるのかなもしそうなら、さっそくわたしの腕を掴んで壁ドンとかしてくれないかな!!」
「もう黙って。てかお前もうしゃべるな。」
こいつは、あれだ。
残念だ。
しゃべったら終わり、まさにそれ。
ふとまわりを見ると、俺らの他に女がもう一人。
…なんだその目は。
俺は睨まれるようなことをこいつにしたか?
むしろ逆だろ。
「あお、みねくん?」
「っ、」
やめろ、急に上目遣いで涙目とかてめ、それは作戦か。
「わー、ったよ、まずは自己紹介からだな。」
男ならきっと誰でもそう言ってしまう。
「じゃあまず壁ドンからで!」
「なんでだよ。」