long**ガンダムSEED

□2.思い出の中のあなた
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おはよう。
おやすみ。
また明日。

言葉を交わすことができていた。
懐かしい日々。


「また泣いてんのかよ。」
笑って近づいてくる彼に、私は言う。

「うるさいなあ。人を打ったのよ。」
好きで戦っているわけではない。
好きで人を殺しているわけではない。
好きで機体に…乗っているわけではないのだ。


「いい加減、覚悟決めねえと。
俺たちは軍人だろ?」

分かってるわよ。

「戦争を終わらすために、私は戦うわ。」

「そうだな。俺もだよ。」

そう言って、彼は私を抱き寄せる。


「平和になったら、二人で月にでも行こうぜ。パイロットとして、ではなくさ。」

そうね、必ず。必ずよ。
私も笑った。



















彼の最期は、あっけないものだった。
地球での休暇中に、残存のコーディネーターによる武装組織に打たれたのだ。

私をかばって。
馬鹿ね。私は死んだって良かったのに。

あなたと…平和なときを過ごすために戦っていたのに…。


あなたが死んだら、私の戦う意味がなくなるじゃない。
待って。私を、私を置いていかないで。



「…また…泣いてんのかよ…。」
彼がまた笑う。
馬鹿。またそれぇ?本当に馬鹿なんだから。

彼は、ゆっくりと目を閉じた。







私は、もう涙は流さない。
軍人だから。これは戦争だから。




コーディネーターは、みんな消えてしまえばいいのだ。




思い出の中のあなた。
(殺して、壊して。そしていつか私も。)
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