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□あの日、わたしは歌を歌えなくなった。
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「ロックオン」
「よ、こんなとこで何してんだよ。」
「…別に…外の空気を吸ってただけ。」
わたしはロックオンが好きだとか、そういうんじゃない。
たぶん、もっと近い存在。
どうしたって埋まらない寂しさを共有するための存在。
「ここ、ロックオンの生まれた町の近くじゃない?」
「…ああ。」
「見に行く?」
「いや、また今度にするわ。次の任務おわってからな。」
次の任務が終わってから、生きているかどうかなんて分からないよ。
わたしはこの時、彼をあの墓に連れて行かなかったことを一生後悔する。
見渡した景色は、とてもとても
青と黒が混じったような
吸い込まれてしまう
いや、もういっそ
わたしをその闇に放り去って
「、」
だめだ。
もう、だめ。
「ハルネ、ロックオンが、死んだ…」
「…そっか、」
光とかを見て、歌ってたわけじゃないけど。
それでもわたしはあなたのことを思いながら歌っていた。
もう、声も枯れてしまった。
あの日、わたしは歌えなくなった。
(死ぬ間際に行ったって、未練が残るだけだ。)