暖かい焔

□ほわいとでー
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それはホワイトデー3日前の出来事

ほんのささやかな幸せ




「…おはようございます…」グスッ
「どないしたん夾ちゃん!」

「ただの杉の木の粉に鼻が犯されてるだけっくしゅん!」

あーぁって顔されたけど
もうこれはどうしようもない
治りそうもないから…

「しんどそいやね…今日は休みぃ」
「いやいや…大丈夫ですから」
「あかんです。八田ちゃーん!今日、夾ちゃん連れて病院いってきてー」

病院!?
やばい!
それはまずいぞっ
保険証ないし!

「いやいや、保険証…ないんで…それに市販ので大丈夫ですら!!」
「さよか?なら薬買いとついでに買い出しで一日つぶれるやろ」

うー
結局一日休みいただくのと一緒じゃんかよー

「八田ちゃーん!」

「はいはい…行くぞ夾」

ふぉおおWWWW
八田ちゃんとお出掛けるとか!

「で…なんで伏見くんもいるのかな?」
むしろ伏美くんですね!モグモグ

薬局へ向かう途中
ばったりとミサキチに出会ったよ!


「は?美咲が…」
ミサキチストーカー健在ですか!!
ありがとうございます

「はぁ?さぁる!てっめ」
「美咲こそ、なんでコイツといるんだよ」
「買い出しだ!」

あっ、見てたいのにくしゃ「くっしゅん…あぁ続けていいよ」
うん。ごめんごめん
邪魔しちゃったね
むしろ電柱の影からひっそりと見てますから!おきになさらずに!!

「まさかお前…」
「風邪だよ。花粉なんて飛んでないんだからね!」
「花粉症かよ…」
「だーかーらー違うって!」
「…風邪なら出歩ってんじゃねーよ」

おふっ
「どうしよ八田ちゃん…伏見がデレた」
「は?夾…お前大丈夫か?猿なんてただの青服だぞ?そんな、明日雪降るみたいに珍しい顔すんなよ」
うんうん
美咲ヤキモチ!
「ほら、猿なんか放っといて早く薬買って帰るぞ」
「はぁーい」
つまり、俺は邪魔物でつねww
「ばいばいさるー!ってあのさ腕を放してよ伏見サン」
つまり右は八田ちゃんに引っ張られていて
左手を伏見にグッと
「???」
「??」
「チッ」
いやいや、すいません。
なにゆえ、腕を掴まれてるか謎な上、さらに舌打ちプラスされた!?
「おい猿!こいつは花粉症なんだからこれ以上外に居たら悪化すんだろ!」
「結局花粉症なんじゃねーか」
「八田ちゃーん!」
「あっ、つか隠すことねぇだろ!つか逆に風邪のほうかやっかいだろ」
「いいの!花粉症がいやなのー!!」
「チッ。わかったから騒ぐなよ。室内ならいいんだろ」
「は?」
「へ?」

ズルズルと連れられたとこ

うん。
室内だけどな

「ゲーセンって」
「…前騒いでたし」

あー
なんかそんなこと言っていたような……

「それに…」

ん?

「まぁいいや。ほら」

え?
いやいやあの一瞬でどうした!
どうやってそれ取ったんだ?!

「バレンタインの…貰ってばっかは嫌だし」
「!」

いや、まさか貰えるとか思わなかったよ!
しかもさりげなさすぎてまたびっくりだよ!
八田ちゃんならおちたが…
つか、あれ?八田ちゃんは?

「…あの馬鹿ならどっか行った。つか…俺と居るのに美咲が気になんの?」

「いや、そりゃ…迷子になったら…困るし…」

迷子に…つか
ただ単に八田ちゃんが居ないのが不安なだけなんだけどさ

「なぁ…お前…」
「ん?」

なんだなんだ伏見くん近いよキミ!!
「…なんでもねーよ。つか近付いただけで顔赤いとかガキだな」
「うっせぇ!!」
いやいや真顔で、ね、ほらキミも一応イケメンに分類されるわけですよ!
そんな顔が近づいたら照れるだろ!
こっちとらゃ、そんな免疫ねぇんじゃバッキャバローネ!

「つか、ほら端末なってるから!絶対せりちゃんだから!」
「チッ。まぁ渡せたし…帰る」

またな。と言って頭ポンッてされた
頭ポンッて!

ググググ

猿比古なくせに!
さりげないんじゃあああああっ!ってガオォとかやってると入れ違いにソワソワした八田ちゃんが
良かった…戻ってきた

「あれ?一人か?」
「伏見ならさっき端末に連絡あって帰ったよー…会いたかった?」
寂しいのか八田ちゃん
うんうん
「ちげっ!つかなんだそれ」
さきほど伏見に取って貰った巨大な猫のぬいぐるみ
「バレンタインのお返しだって、ってもらった」
「…やっぱ猿にも渡してたんだな」
「ん?あぁ…みんなに配ったのと同じやつだよ」
だってあれは八田ちゃんにしかあげてないのに…
「…わりぃ…んな顔すんなよ」
「だって…」
「うん…で、さ…俺も…」
「ん?」
うつむき加減でそのまま出されたのは、赤いラッピングのされた小さな箱
「!」
「先に渡されたのは悔しいけど…お、お返しだっ!」
「あ、ありがとう!」
うっわ!
めっちゃ嬉しい!
やばい!
いまめっちゃときめいた!
「開けてもいい…?」
「お、おう!」

そこにはシルバーの紅い石の入ったスカルのピアス

「ありがとう!つける!無くさない!」

「よかった」

なんか八田ちゃんめっちゃほっとした顔だけど
気に入らないわけないのよ!

「なんか…チョコだったのにピアス貰っちゃって…」
「気にすんなよ!俺があげたかっただけだし!それに、楽しみにしてろよって、言っただろ?」

照れながら男前なセリフありがとうございます!


「ほ、ほら!いい加減薬買って帰るぞ」
「うん!」




もちろん帰宅して機嫌いい二人に目敏い十束さんに質問攻めにあったのと
3日後
ホワイトデーに沢山のお返しがカウンターに在ったとか

それでも代わらず、夾の耳には、いつまでも紅く輝くピアスが…これは一生外されることはなかった








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