Short Story【鬼灯の冷徹2】

□【鬼灯/白澤】拍手夢
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『鬼灯様、イベントに参加したいです』





閻魔殿の食堂で放送されていた鬼灯の冷徹のアニメを見ながら思いを告げてみた。
「私達がテレビに映るとは」と関心していた鬼灯様だったけれどテレビから視線を私に移して怪訝そうな顔をする。どういうことですか、と。







『今度鬼灯の冷徹のイベントがあるんです。声優さんの』
「ほお」
『それに行きたいな、って…』
「誰が目当てなんですか?」





確信を突いた質問をされて思わず目が泳いでしまう。だってそんなことを言ったら鬼灯様が怒るのは目に見えているから。





「答えないんですか?身体に聞きましょうか?」
『やっ、安元さんです!!!』






低い声で言われて反射的に言ってしまった。しまった、と直感し恐る恐る鬼灯様を見れば呆れた顔をしていた。







「私の声の人ですよね、その方」
『はい』
「イケメンなんですか?」
『はい、私的にはかなり』







安元さんの顔を思い出し、頬を綻ばせながら言うと、バンッと机を叩かれて現実に引き戻される。もう一度鬼灯様を見れば呆れた顔から一変、眉間に皺を寄せて相当お怒りの表情。

しまった…。
鬼灯様以外の方で、しかも鬼灯様の目の前でデレてしまった。
そんな私を見て、怒らない理由はこの方にはない。






「駄目です。行かせません」
『何故ですか!?』
「私以外の男に貴女が心奪われるなんて許しません」
『鬼灯様の中の方ですよ!?』
「だったら私の中身にもっと惚れなさい!」







くっそ〜、うまいことを仰る!!
しかも一番の目的は安元さんであることに間違いはないが、白澤様役の遊佐さんや義経様役の梶さん、シロちゃん役の小林さんも気になるのだ。絶対に譲りたくないいいい!








『イヤです…行きます』
「随分頑なですね。目的、安元さんだけじゃないんじゃないんですか?」
『ギクッ…』
「言いなさい、他に誰を狙ってるんですか!?」
『鬼灯様には関係のないことです!』
「関係なくないです!」
『なんと言われようと行きます!だってもうチケット当選したんですもん!!』
「……は?」








やばっ、と口元に手を押し当てる。

でも私も馬鹿だ。
此処まで鬼灯様と口論をして今更最初の言葉のチョイスを間違えたと後悔するのだから。
だって、最初の時にイベント当日は予定があるから仕事は出られないとか、そもそも“行ってもいいか”と鬼灯様に許可を貰うような言葉が違ったのだ。行きます、とハッキリ言えばきっとこんなことにはならなかった。

うん、きっと…。










「そこまで話は進んでいたんですね」
『すみません、言葉のチョイスを間違えました』
「まぁチケットを無駄にするのは良くないです。私も色々言いましたが行って来なさい」
『ありがとうございます!』
「但し…」






一気に鬼灯様の声のトーンが下がる。










「イベント当日の夜は覚えといてくださいね?それと、私と安元さんになんの繋がりもないと思わないで下さいね?」







ーープレゼントなんてしたら、すぐ分かるようにしておきますので。















『ヒドイ!!』











すぐさま食堂から出て、既に購入しておいた安元さんへのプレゼントを私からじゃないとバレないように、例え鬼灯様であっても分からないように手紙を書き直さなければ!と自室へと走った。




























「イベント、楽しかったですか?」
『はい!安元さん、素敵でしたぁ』
「…。さぁ、ベッドへ行きましょうか」
『…、……お手柔らかにお願いします…』
「イヤです」





























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