Short Story【声優】

□【中井】ボーイズでラブなアレ
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「1回聴いてみなって!」



そう友達に薦められたBLCD。
興味はあるけど、中々手が出せ無い。

だって、恋人のオラオラ声なんて聴きたくないじゃない。










『っ、…っ』


初めて聴いたBLCD。
しかも和哉さん出演の。


こんなのヤダ!
聴きたくない!
恥ずかしい!!


ベッドに潜り込んで、顔を枕に埋めて、手足をバタバタさせているところで、ポンポンと肩を叩かれた。

顔をそちらに向けると其処には…



「ただいま」



和哉さんの姿。
…ヘッドホンしてたから気付かなかった。
それを外して俯いて言う。



『お帰り、なさぃ…』
「どうした?」



いつもは思わず抱き付いてしまう私がこんなんだから、心配そうに聞いてくれた。
でも、なんだかスッゴい、複雑……。



『あの、和哉さん…』
「ん?」



聞いていいのかな?
言っていいのかな?

でも、言っちゃいたい…



『BLCD、出ないで下さい…』
「…は?」



俯いてるから顔は見えないけど、絶対面倒って顔されてる…



「なに?聴いたの?」
『はぃ…』
「ふぅん、どうだった?」
『恥ずかしかった…』
「なんで?」
『いつもの和哉さんじゃなかったから…』
「他には?」
『色んな人が聴いてると思うとイヤ…』



そう言うとクスクスと笑い始めて、頭を撫でられた。



『な、なに?』
「バカだなぁ。あれ演技だろ?」



グッと言葉に詰まる私を尻目に言葉を続ける和哉さん。



「お前の時のが ホントの俺だよ」
『〜ッ』



今さっきまで聴いていたのと同じ声で、ヘッドフォンをしている時と同じ様に耳元でそう言われて恥ずかしくてきゅっと目を瞑る。そうでなくたってCDを聴いて変な気持ちになっているのに追い打ちを掛けられるみたいな。



『勘弁してください』
「今日はやだ」



そう言ってよいしょとベッドの中に潜り込んでくる和哉さん。ちゅっと優しいキスをされて、あぁ、もうだめ。



「さて、どのCD聴いたんだ?実践だ」
『む、むむむ無理ですっ』
「大丈夫、優しく愛してあげるよ」



さっき私といるときの自分が本当、とか言ってたじゃない。今完全に仕事の声でこのシチュエーションを楽しんでる。
いつもより作った低い声。
普段言わないような甘ったるい台詞。
でもいつも以上に私も毒されてしまっているから。また重なった唇に熱いものを求めるように身体を摺り寄せた。



「お、ノリノリだ」



クスクス笑われて自分から求めていることに恥ずかしくなる。でももうそんなこといいから早く、ください。
そうして私からキスをした。













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