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□誘う
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名無しさんはいつだって無防備だ。
俺はいつ襲ってやってもいい、くらいに思ってる。
でも名無しさんは、そんなの一切知りません、みたいな純粋ちゃんって感じで。
ちゃんと理性保ってる俺は、我ながら偉いと思う。
「ゆーづーるーくん。」
また俺のベッドに勝手に仰向けになって...
名無しさんは女っていう自覚があるんだろうか。
それとも、むしろ逆で俺の方が男として見られてないのか。
いつも俺を見て、「可愛い」だの、「綺麗」だの言ってるから、もしかしたらそうなのかもしれない。
「...名無しさんは女の子っていう自覚あるの?」
他の男の前でもこんなことしてるんなら、俺だって黙っちゃいない。
「あるよ〜。」
あるなら、もう少し身構えるべきだと思う。
何が無防備か、って。
胸元の大きく開いたTシャツ一枚に、膝上10センチのミニスカート。
女が、ましてや彼女が、そんな格好で仰向けで、目の前にいたら...
俺だって男なんだ。
「うう...結弦ー...あっつい。」
「ならさ」
続きを言い切らないうちに、名無しさんを組み敷いてやる。
「もっと熱くなること、しようか。」
ねえ。
その赤くなった顔はさ、
誘ってると捉えて、間違いないよね?