□温める
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「っくしゅん!」

お風呂上がりに下着のまま部屋をうろちょろしている名無しさんが、大きなくしゃみをする。

だからパジャマでも着ろって言ったのに。

「う〜、風邪引いたかな?」

「そんな格好でうろちょろしてるからでしょ?」

「あ、そっか...」

どこまでお馬鹿なのかこの子は。

そんな名無しさんを好きな俺も俺で、どうかしちゃってる訳なんだけど。



「んで...いつまでこんな格好してるつもりなの?」

見てるこっちも大分恥ずかしい。

「なんのパジャマ着るか決まらないの...」

そんなの何だっていいじゃん、と言うと、着る服一つ一つに拘りのある名無しさんは怒るので、胸の内に。



名無しさんは相も変わらず棚を覗き込んで、悩んでいる。

今日の下着はこの間買い物に言ったときに買ってた、ピンクのレースが付いたやつだ。

今すぐにでも理性がどこかへ行ってしまいそうだ。

「名無しさんなら、どれ着たって可愛いよ。」

理性がどこかへ行ってしまう前に、名無しさんから目を離しながらそう答える。

「え、あ、そ、そうかな...?」

名無しさんが少しだけ頬を赤くして、俺の方を向く。

その顔は...反則だと思う。

耐えられなくなって、名無しさんの背後に静かに詰め寄り、驚かせるように抱き締める。

「わぁっ!ゆづ、る...?」

「体冷たいけど、寒くないの?」

「ちょっとだけ寒い、かな?...温めてくれるの?」

何も答えずに首筋に唇を落とす。

いいよ、温めてあげる。



ただし、温める、というよりは、『熱くなる』ことをしようか。












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