めいん!

□ビル・ウィーズリーと嫁の勘違い
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【悲報】嫁が実家に帰りそう【第1話】




「おかあさんおこ?おこなの?」

「お母さんは怒ってます」

燃えるような赤毛の息子、ヴァーミリオン(3歳)に、笑顔を返す、黒髪黒目のどこからどうみても日本人な彼女はMrs.ウィーズリー。
日本人なのにハイカラな名前なのは外国人の旦那がいるからだ。

旦那はあの、イケメン魔法使いビル・ウィーズリー。



ビルが不死鳥の騎士団で行動しやすくなるように、と家族三人でわざわざエジプトからイギリスに引っ越してきた。
にも関わらず。
旦那が美人と浮気をしてるらしい。
いやしていた。名無しさんは自らの目で見ていた。




散歩しながらマグル式の写真を撮るのが彼女の趣味なのだが、
たまたま、偶然、その写真に、ビルと、彼の腕に寄り添う(むしろ絡み付く)美人が写っていただけ。
これを浮気と言わずになんと言う?と名無しさんは思った。
ビルの表情もこれがまた、締まりのない顔なのだ。


名無しさんの中で、浮気のラインはかなり低い。
なぜって、学生時代に男友達に頭を撫でられただけで、当時から付き合っていたビルが浮気だと騒いだからだ。
理由は肌(髪だけど)が触れ合っていたから、だそうで。

髪を撫でるのと腕に寄り添うの。
どちらがより密着しているかは一目瞭然だ。
名無しさんは浮気だと判断した。




「あれ、義姉さん?」

「あらロナルド君じゃない!元気?」

「元気だよ、でもどうしたの?もうすぐ夕食の時間だぜ?」

ロンは時計を見ながら言った。
いつもならもう料理し始めている頃だろう。

「いいのよ別に。旦那さんは楽しく浮気中よ」

「おとうさんね、おんなのひとといっしょだったの!」

ロンが口を開く前に名無しさんがロンに吐き捨てれば、ヴァーミリオンが詳しく説明を付け足した。
「おんなのひとがね、こうね、ぎゅーってねえ!」
Mrs.ウィーズリーと繋いでいた手を離し、腕に絡み付く3歳の甥。
ロンは頭の血が全て抜け落ちたんじゃないかと思った。

「はっ……はは……ビルなにやってんだよ……」

ロンが目の前にいる彼女の手を握ったとき、あんなに……いや、これは思い出したくない。
フレッドとジョージが彼女と手を繋いだだけで……これも、なかなかショッキングだった。
唯一名無しさんと手を繋げるのは女子とヴァーミリオンだけだ。
それだけ制限しているにも関わらず、自分は女性と……なんて。
ロンは兄を庇える気がしなかった。



「義姉さんは家に帰らなくてもいいとおもうな」

「そうでしょう?ビルが悪いのよ」


ロンは義姉をよぅく見た。
黒いローブを全身覆うように着ている。
自分たちが大嫌いな薬学教授のようだとロンは思った
時々隙間から見えるウエストポーチにはおそらく魔法がかかっているのだろう。
中には生活用品が入っていると見た。

「これからどうするの?」

「日本に帰るわ。まぁでも、暫くは挨拶回りでホテルに泊まるよ。
明日は貴方のご両親に会いにいくからね。
ビルは仕事があるし、アーサーさんは無理でもモリーさんには会えるでしょう。
そこで実家に帰りますって言うわ。
理由も細かく話してからね!
それから皆に日本に帰るって言い回るの」

「ワオ!すっごいアグレッシブ!」

「日本人ってこういうときは無駄に行動力あるのよ」

それじゃあ、と言ってホテルに向かう義姉を見て、ロンは
早く家に帰ってビルを殴らないとと思うのだった。

なんたって自分たちは義姉が大好きだし本当の家族のように思っているから
ジャパンに帰られてしまってはさみしい。
だから、ビルをとりあえず一発殴ってから言い訳を聞こうとロンは足を動かした。
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