紅の鳥籠
□君と吉原とそれから僕
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行き交う人たちの群れがまして行くにつれて次々と買われて行く花魁たちを尻目に僕は奥に静かに座っていた。
「おや?もうこれだけしかいないのかい?」
と、一人の客がそうぼやくと後ろにいたのだろうか、もう一人の赤髪をたずさえた客がぼやいた男に対して、
「だから、僕はこういう風俗には興味が無いと言っているでしょう?」
そう言った赤髪の男は武士とは思えないほどに品がありどこぞのお偉いさんかと見間違えるほどだった。
「それだから、嫁がいないのですよ赤司様は」
ぼやいた男はそう言うと、甲高く笑う。
すると、一人の花魁が赤髪の男に
声を掛ける。
「お客様は、赤司様と申すのですか?どうですか?買われないのですか?」
どんどん質問をしてくる花魁に赤髪の男、赤司は何かを言おうとしたが連れ添いのもう一人の男が先に言葉を発した。
「酌だけでも、交わしたらどうですか赤司様、それならいいでしょう?」
「まぁ、酌だけならば......」
そう言うと、赤司というお侍様は僕を見て目を見開いて何を思ったか、
「じゃぁ、その子に酌してもらおうかな?」
こうして僕は赤司征十郎という男に買われたのだった。