小話
□少女の独白
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ふと、少女は顔をあげた。
窓から見えるのは、此処西のウィッカを象徴する黄金の月。
「………。」
再び、手元の本に視線を落とす。
「……デビル達は、何処から来たんだろうね。」
誰に言うわけでもなく、その声が静かな部屋に反響した。
アナザーの数だけソウルストーンは存在する。
でも、デビル本体は一人だけ。
デビルには二種類いる。
一つは、元々昔から存在していたデビル。
もう一つは、そうでないデビル。
デビルが愛したアナザーが居なくなったら、そのデビルは視力を失う。
まだ生まれて一年も経たないアナザーは考えていた。
「……ソロモン、ゴエティアの悪魔。」
72人の悪魔達。
「……堕天使や伝説等の悪魔…。」
「ファウスト≠フメフィスト」
ぱたん、と本を閉じて、背伸びした。
「…まあ、本とかにあるやつはそれくらいか…」
あとは、と続ける。
「この島の場合…か…。」
ナベリウス一族、オスタル宮殿…
「あとマンドラゴラ……って、西か!西の森!!」
一人ツッコミを入れつつ、再び考え始める。
「………。」
元々は、人間だった。
或いは別の存在だった。
そんなデビルもいるらしい。
「…確か、インキュバスは元人間…だったはず…?」
あとは、クロネコとシロネコの二人。
ネコ、と付くなら…もしかすると……などの考えも浮かんだ。
「……本とかじゃ、悪魔じゃなくて、精霊とかもね…」
あとは、神話に出てくるのもあるな…と呟いた。
……なら。
「彼等はいつ、デビル≠ノされたんだろうね?」
ただ存在はしていた。
人間に名前を付けられることにより、存在を義務づけられた。
どこかで、そんな事を言っているデビルがいた気がする。
それともう一つ。
この島がどんなもので、自分がなんなのか。
それすら分からず、存在しているデビルもいる。
まるで、気が付いたら「私は西のアナザーだった」というのと似ている。
まあ、デビル達が嘘を言っているかもしれないし、相変わらずわからないけどね。
「………まあ、いつかわかるって信じて見るしかないかな…」
少女はそう言って、部屋を後にした。
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