小話
□夏のアバコンログ
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◆ある日の西のゼリー屋。◆
『……どうしてこうなった…』
紫のオーラを放つソレを見ながらアナザーが呟く。
そんな彼女に気づいたのか、グラシャがやって来た。
「お前さん、どうした?」
『ああ…グラシャ。とうとう…やっちゃったよ…私』
「何を、」
と言いかけ、彼女の手元にある“紫のオーラを放つ何か”に気づいた。
「………」
『………』
暫くの沈黙。
「……お前さん、なにを作ろうとしたんだ?」
『…ゼリーです、はい。』
「(何をどうやったらこうなるんだ…)」
若干呆れた視線をアナザーに送りながら、彼女はその経緯を話し始めた。
最初は普通にゼリーを作ろうと考えていた。だが
『なんか、製造過程も含めてインパクトのあるゼリーを作りたいなー』
と言うことになり、魔法やら魔女の祝祭で余ってしまった卵やら麦穂やら使って、作り始めたところ…
『気づいたらこうなっていた……』
「もはやゼリーの面影すらないなぁ…こりゃ。」
ガックリと項垂れるアナザーを見て、グラシャは肩をぽん、と叩いた。
『グラシャ……』
「…、次はそうならないように俺も手伝うからよ。」
そう言いながら、グラシャはいつもの笑みを浮かべた。
『…ありがと』
彼女もまた、笑顔で答えた。
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