君の視線のその先に

□俺
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この如月学園は山奥にひっそりとそびえ立つ男子校である。小学校から大学 まで一貫していて山奥にあるために全寮制。

通う生徒は大体が裕福な家庭の息子という、お坊っちゃま校なのである。

そして閉鎖的空間であるが故に生徒たちは同性愛へはしる。なんと学園の8割がゲイとバイで占めていた。ノンケなんてほんの少数派なのである。

そしてこの学園には抱きたいランキング、抱かれたいランキングなるものが存在し、その上位が生徒会や各委員長に就任する。ランキング上位者には親衛隊も存在する。

さらには将来、人の上に立つ人間になる生徒が多いこの学園では理事長の計らいで全て生徒が取り仕切る。

学園に存在する勢力は主に2つ。ひとつは学園の全てを取り仕切る生徒会。そしてもうひとつ、生徒会が暴走しないように抑制し、学園の治安を守る風紀委員会である。

所謂王道学園と呼ばれるような場所なのである。


そんな学園で今日も恋に悩める少年が一人溜め息を吐いていた。

容姿端麗で頭脳明晰。少し傲慢なところもあるが誰もが認めるカリスマ性を持つこの学園の生徒会長を務める少年―――和泉 雫はまたやってしまった……と一人落ち込んでいた。

プライドが高い和泉はその性格故か、つい想いを寄せている相手の風紀委員長に悪態をついてしまうのである。

そのせいで周りからは犬猿の仲だとすら言われていて、和泉の気持ちは誰も知らない。

もちろん、相手―――壱岐 大和も知らず、和泉が攻撃的な態度をとるために壱岐もそれなりの対応をして、実際二人の仲は険悪だった。

今日も今日とて不本意に壱岐に喧嘩を売ってしまった和泉。

壱岐に悪態をついて、後から後悔して落ち込むのは最早恒例となっていた。

しかし和泉が悩んでいるのはそれだけではない。
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