君の視線のその先に
□関
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キーンコーンカーンコーン
午前の授業の終わりを鐘が告げる。生徒たちは先ほどまでの授業で使っていた用具を片付け昼食を摂るために食堂へ行く準備をしている。壱岐大和もそのうちの一人だった。
「やぁまぁとぉ」
聞き覚えのある声が自分を呼んでいることに気づいた壱岐は顔をそちらに向ける。
そこには案の定というべきか、彼の幼馴染みである泉南亜樹の姿があった。
「早く食堂行こー。僕お腹すいちゃったよ」
ふにゃり。そんな擬音を伴って微笑む泉南。
周りからは男子校とは思えないほどの甲高い声と男子特有の野太い声が聞こえる。
しかし二人は気にしない。こんなことを一々気にしていたら身がもたないのだ。
「待たせたな、じゃあ行こうか」
そんな泉南の頭を微笑みながら撫でてそのまま隣に並ぶ壱岐。その事にさらに騒がしくなる周囲。
「壱岐様が泉南様の頭を……!」や「壱岐様の貴重な微笑みが……」などと聞こえてくるがやはり二人は気にしない。
二人はそのまま午前中にあったことを報告し合いながら仲睦まじく食堂へ向かった。