〜真珠ひとしずく〜破天荒三人組と新選組の時空奇譚 壱
□2話 詮議と“はじめまして”
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そんな三人の様子に呆気にとられていたらしい男三人。
そのうちの一人が、ようよう気を取り直して口を開く。
「…おい、俺達を前に良い度胸じゃねえか」
「「「だって誰だか知らないし」」」
「「「………」」」
…たしかに。
再び、見事なまでに息の合った三人の返答。無論、本人達は至って真面目も大真面目。
「つーか、これ度胸の問題か?こっちはまともになんの説明もされちゃいねえ。
確かに助けられたしそれには感謝するが、あんたらに睨まれる覚えはねえな」
打って変わって、表情も態度も変えた不琉木が、若干怒気を含んだような声色でそう言い放つ。
「こっちは一晩中、なんも知らされねぇなんも訳わからねぇ状態で大人しく縛られてやってたんだ。
先に状況説明くらいすんのが道理ってもんじゃねえのか」
男三人に向ける不琉木の双眸は、こちらも負けず劣らず鋭い光が宿っている。
すると、昨晩遭った内の一人が面白そうに目を細め、口端を上げて口を開いた。
「――君、良い性格してるね?」
「はんっ、そりゃどーも」
男と不琉木の視線が交錯する。
それを、特に慌てることも焦ることもせずに、和と和輝は静観していた。
言い方は乱暴であるが、不琉木の言うことは確かに筋が通っているし、また内心の気持ちが多少違えど、それは二人も同感だったからである。
「てめえら、二人とも黙りやがれ―――で、お前達。名はなんて言う」
先ほどから見ている限り、どうもこの男が三人の中でも一番立場が上らしい。
纏う雰囲気も、人を統率する者のそれだと感じた。
そして、一番に口を開いてきたのはやはり不琉木で、しかもそれは答えではない。
「なんでてめぇらに名なんぞ教えねえといけねぇんだよ。そっちが俺ら警戒するように、こっちも軽い口は持ってねぇんでな。
まず、なんでこうも警戒するのか、そこんところの説明が先だ」
三人の中でも、特に他人に対して人一倍、気を許さないのは不琉木である。
飄々として、表面的には誰とでもすぐ話すし知り合いになるものの、しかし実際は滅多に心を開かない性質だ。
その生来の気質が、この場で大いに発揮されるのも至極頷ける状況であり、それが判っている和も和輝も、何も言わず黙っている。
つまり、不琉木に同意しているわけで。
暫くの間、男達と主に不琉木との睨み合いが続いた。
火花が飛んでいるかどうかは、想像に任せることにする。
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