〜真珠ひとしずく〜破天荒三人組と新選組の時空奇譚 壱

□【序ノ巻】
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 真珠―――この言葉の意味を、はたしてどれだけの者が知っているだろうか…






 今より150年ほど昔、日の本の国はかつてないほどの動乱を迎えていた

 鋭利に煌めく刀を携え闊歩する男達が巷にいた、最期の時代

 その時、時代の波に翻弄され、徒花として散り滅んでいった存在は数知れない
 
 誠の旗を己が心に掲げ、己が信念を胸に駆け抜けた新選組も、そのひとつ






 誠は真の心なり
 





 彼らのその心…魂は、多くの者達が失いつつあったものを、尚失わず胸に抱えていた

 その、どろどろと渦巻く世界の中で、それでも輝きを放っていた魂は澄んだ珠の如く


 ―――――――――そんな彼らのような魂を、“真珠”と呼ぶ





 〜* 〜* 〜* 〜* 〜* 〜* 〜*





 現代―――平成の年号を冠する時代

 大学院進学が決まった、腐れ縁のとある男女三人がいた

 桜の花は散り、緑の葉が入れ替わりに芽吹いている初夏

 月の綺麗な夜、秘かに会っていた時に突如タイムスリップする




 幕末の動乱期




 様々な意味でこの国が変わり、現代へ多大な影響を及ぼしたそんな時代へ…


 そこで偶然出逢ったのは新選組


 様々な巡り合いが彼らを導き、不思議な縁が紡がれてゆく―――






 〜* 〜* 〜* 〜* 〜* 〜* 〜* 〜* 〜* 〜*






 さぁ、準備が出来た方は、物語の巻物を紐解きましょう



 ここから始まるのは

 悠久の壮大な歴史の中で紡がれた、おそらく表沙汰にはされずに朽ちる物語



 それでも、知る人は知ります

 貴方もきっと、その一人



 命を賭して時代を駆け抜け、絡まる複雑な縁によって導かれし“彼ら”のことを

 どうか覚えていて下さい




 それでは、まずは“彼ら”の奇妙な逢瀬から






 上を見上げましょう


 夜空を見上げましょう


 ほら、月が見えます







 Are you ready――――?
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