〜真珠ひとしずく〜破天荒三人組と新選組の時空奇譚 壱
□2話 詮議と“はじめまして”
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一晩を明かした
手始めに、やっぱりお決まりの詮議―
〜* 〜* 〜* 〜* 〜*
障子を介して差し込んでくる、淡い朝陽に三人はゆるゆると目を開けた。
「――ん……おはよー…」
「おぅよ」
「朝っぱらから威勢の良い奴だな…すっげぇ眠ぃ」
「しかもこの状態でな」
「ったりめえだ、こんな馬鹿みてえに面白いことなんぞそうそうあるか☆」
「あー…これが不琉木たる所以(ゆえん)だよ、ったく」
和と和輝は苦笑しつつ欠伸しつつ、呆れたようにそう応えているが
けれど、本当にいつも通りの不琉木の姿に、己が安堵しているのも自覚していた。
とはいえ、だ。
かくいう不琉木も含め、三人は心身共に半端ないほどの疲労も感じていた。
当然である。
昨日からずっと、慣れないどころか超絶的なまでに有り得ないはずなのに有り得てしまっている状況に、
頭も身体も心も全てフル回転させているのだから。
そして、今現在の目下の悩みはと言えば。
この、少々キツすぎるほどに縛られた手足の縄の痛さだったりする。
一体、何が悲しくてこんな状態で眠らなければならなかったのだろう
――と、思うのも無理はないが、まぁそこはこの三人。
「眠れたか?」
「一応?」
「こんなんでも寝れるもんだな」
「滅多にない貴重な経験だな☆」
「不琉木が言うと深刻に聴こえねー…」
「いやいや、なんでも前向きが重要だ」
「わかったわかった」
後ろ手で縛られ足首も縛られて寝るとかなんの冗談?と昨夜はしきりに思った三人。
といっても、結構ちゃっかり眠っているのだから、やはり三者三様に豪胆なのかもしれない。
「なんか、微妙に寝違えた気がする」
もぞもぞ…と少し動いて身体の具合を確かめた和ものんびりしているし、
「筋肉痛も激しいな」
慣れない態勢で寝るもんじゃないと、そんなことを思っている和輝も呑気だし、
「そうか?俺はぴんぴんだぜ」
「「山猿だからな」」
鼻歌でも聞こえてきそうな雰囲気の不琉木が極めつき。
最近は受験のために運動不足気味だった和輝と和に比べ、不琉木は常時、山を身軽にほっつき歩いている。
ゆえに、二人は不琉木のことを密かに山猿と称していた――というのは余談として。
睡眠より拘束状態より筋肉痛よりなにより
最大かつ最重要な問題は他にある。
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