短編
□病弱少女と弱虫少年(和人/微切甘)
2ページ/3ページ
目を背けて反らしていただけなのだろう…
次の日先生から聞いた話は、彼女が余命を宣告されていたということと、不治の病だということだ
この事を聞いたとき、なぜ隠していたんだ、幼馴染みだろ?
迷惑はお互い様なのに…
そんなことばかり考えてしまった
そんなこと言っても現状は、
呼吸もままならなく、マスクで呼吸をする彼女の姿
俺の心に、俺は俺を攻めた…
『お、も…い…つめ、ない…で?』
ゆっくりと意識が戻ったとき彼女は言った
そんな優しさにいつも甘えてばかりで…
「俺、強くならなくちゃな…」
『むり…しない、で?』
俺の言葉に応えてくれる彩華
そんな姿を見て口からなにかが出た
「好きだ…」
言い出した口は止まらない
「好きなんだ…
優しくて暖かくて、可愛くて、ときに叱ってくれて、感情豊かな彩華が、好きなんだ…」
だから…
言葉は続く紡ぎ出されるように続く
「死ぬな…
違う、彩華は絶対に死なない…」
そのときの彩華は、今までに見たことがないほど綺麗な笑顔だった…