中編夢小説

□一章
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卒業を間近に控え、毎夜の様に行われるパーティー。

クラスメイトのガレージでは、集った同級生達が 早々と解禁されたアルコールに酔いしれている。












『さきちゃん、飲んでる?』












其々楽しんでいる光景を眺めながら、駐車してあるオープンカーのシートに座っていた私に
いつも通り、男子生徒が話しかけて来た。












『あ、城戸君。私、お酒も煙草もやらないんだよね。』



『そうなの?意外。』











こうして隙を見ては入れ替わり立ち替わりで、彼らはコミニュケーションを図ってくる。

そんなチヤホヤされている自分が嫌いではなく、寧ろ酔いしれているから厄介で
そのまま流れで受け入れることもしばしば…。

まぁ、気に入ればの話だが。












『さきちゃんさ、週末暇?』



『あー…。週末は大体従兄弟の家に居るかな。最近叔父さんが再婚して、タメの親戚できてさ。』











と、あまり気が向かない場合は
こうして従兄弟という盾を使う。

事実、たまに遊びに行くこともあるので 完全な嘘ではないから罪にはならない。と思っている。



時計は深夜0時を指し、そろそろ会もお開きとなった時
このガレージを貸し出しているクラスメイトが、私へと近づいてきた。











『ねぇ さき、明日学校サボって魔界行かない?』











最近は、魔界という異世界へ気軽に出入りできるようになり
人間界にも妖怪が居たりする。

偶然にも私の新しい親戚は、それに当たり 妖怪という生き物にもあまり抵抗なく接することができている。

ただ、交通面や食事面で あまり魔界を好きになれない私は
境遇トンネル自体を自分の意思で越えることは無い。











『絵理、本当魔界好きだね。何がそんな楽しいの?』


『さきは魔界の良さを知らないんだって!いいよ〜、意外といい男多いし。』








『マジ?それは興味深いね。』


『隣の学校に来た凍矢って子、魔界から来た人だしね。1年だけど、まぁコレがイケてんだよね。』











つらつらと目ぼしを付けたターゲットの話をする彼女は
少し酔っているのか、緩んだ表情をしている。

しかし、絵理の言うとおり男目的でなら魔界も楽しめそうだと、彼女の誘いに乗ることにした。
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