長編夢小説
□九章
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南野side
悪かったとは 思ってる。
彼女が自ら話さないことを、変に詮索する気もなかったし
ましてや無理に聞き出すつもりもなかった。
俺よりずっと大人の彼女が、一番嫌う行為だとわかっていたから。
ただ、時間と共に彼女へ興味が深くなっていき
彼女の行動、言動、一つ一つが目についてしまう。
言い訳がましいが、妖狐だった頃の自分にある独占欲が、蠢いていたのかもしれない。
もっと知りたくて、でも深入りしてしまえば嫌われてしまいそうで。
そんな小心者の自分と戦いながら
気づけばいつしか、彼女に気を使いながら過ごしていた。
会う度強くなる彼女への探究心と支配欲に
葛藤と矛盾の狭間で、俺はもう限界だった。
気づけばペラペラと彼女へ問いかけ、半ば追い詰めてしまっていた。
こちらを見ないまま、完全に俺をシャットアウトした『帰ろう』の一言。
あの時の彼女の顔が焼きついて離れない。