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バカップルその三


「……なんで謝るの」
「いや、あの、その、ね?」
「理由も分からないなら謝らないで欲しいんだけど」
「えっと……すいません……」
「……(イラァ)」



攻め

 蓮見 和也(ハスミ カズヤ)

 大学一年生。
 つり目。見た目に反して超ヘタレ。
 バカ野郎。大馬鹿野郎。
 東雲に弱い。バカ野郎。

 高校時代、東雲にやらかしたことで負い目を感じていて、現在も隣で彼氏をやっていることに罪悪感がある。

 ゆえにいつもヘタレていて、東雲に対して強く出れない。

 それでも東雲は好きなので、今の状態に甘んじてしまっている。それが本当はすごく嫌。


 東雲と大学は別で、毎日毎時間、授業の区切りがつくと東雲に連絡する。
 独占欲はめちゃくちゃ強い。

 とにかくヘタレ。嫌な奴になりきれない。

 昔のことをなかったことにしたいわけではないが、それでも好きなことを伝えたいと、必ず一日一回は「好き」という。

 本気でこいつはバカ野郎だけど、一途な子ではある。バカ野郎だけど。



受け


 東雲 京太(シノノメ キョウタ)

 大学一年。黒部・小鳥遊・真柴と同じ大学。
 語尾に「〜っす」、無表情。
 蓮見に対しては、イライラ全開のタメ口。
 
 そしてドM。

 高校時代に蓮見にやらかされて以降、Mに目覚める。
 とはいえ、あくまで蓮見だけに限る。

 蓮見はものすごくこの時のことに負い目を感じているが、本人はそんなに気にしていない。
 気にしてないというか、これを使って付き合えるかもと踏んでいたから、お互い様と考えてたりする。

 なのに蓮見がめちゃくちゃ罪悪感に駆られて、ヘタレているのでイライラしている。
 
 蓮見のことを好きなのは高校時代から。
 でもゲイじゃない。好きなのは蓮見だけ。

 ほかの男には恋愛感情は湧かない。

 真柴と二人で、黒部と小鳥遊のカップル見守り隊を結成している。本当に見ているだけである。

 滅多に笑わないが、蓮見に虐げられている(強制)ときと、蓮見が電話越しに毎日言う「好き」には笑顔を見せる。

 

日常


↓↓↓


電話越し。


『えっと、今日、会いたいんだけど……』
「いいよ」
『えっ!?あっ、うん!ありがとう!』
「……なんでそんなビクビクしてんの?」
『いや、そんなあっさりオッケー貰えるとは思わなくて……』
「そりゃオッケーするよ。俺たち付き合ってるし。最近会ってないし。俺だって会いたいし」

『……!!う、嬉しい!です!』

「……ぷっ。なんで敬語なの」
『笑った!今、東雲笑った!見たい!』
「やだ。和也」
『ん?』
「今近くにいるだろ」
『え』
「俺の友達の声がする」
『……えっと……どれが友達?』


「嘘。後ろ向け、バカ」


「え」
 
「よう。会いに来ちゃった、きゃは」
「…………」
「……あれ?キモいとか罵られたり、せめて驚いてもらう予定だったのに。和也?」
「……会えたことが嬉しすぎて死ぬ……」
「安いな、お前」

「うん……。東雲、好き……」
「おう。いくらでも抱きしめてあげるから来い」
「好きです……」
「うん」


+++


「で?」

「えっ」

「今日はなんのプレイするの?」
「えっ?」
「そのために呼んだんだよね?違うの?」
「いや、あの、その下心もあったけど」
「会えただけで嬉しいって?

 黙れ、クソヘタレ草食男」

「すごい罵られた!すいません!」
「俺は罵られたい側なんだけど」
「……も、もうちょっとそれは待って……。
 俺、東雲にひどいこと言えない……」
「なぜ。傷つかないよ。マジ鋼メンタルだから。来い」

「だって俺、お前のこと好きだもん。好きな奴に汚い言葉ぶつけたくない……」

「…………。これだから……」

「え?」
「分かった。それはなしでいいよ。


 でもヤるときは縛れ」


「嫌だよ!!」
「それくらいやれよ!」
「えええええ」

「やってくれたら好きになる」
「わかった、やる」
「お前本当にバカだな」




こいつらホントにバカだなぁ。
でも一番好き。


設定は終わり!
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