星々の輝き

□星々の輝き
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屋上に辿り着き、丁度日陰になっている所があった。
裕子はアイスを一つ買い、日陰になっている椅子に座った。
あの3人の男達が頭から離れない裕子。
っと言っても何処かで会った訳でも無いし、見掛けた事も無い。
だけど何処かで見た様な、会った事がある様な気がした。
考えれば考える程分からなくなる。
「…まぁ、また会えるかな」
アイスを口にし、そう小さく呟いた。
暫くボーッとしていると突然眠気が襲って来た。
起きていなきゃいけないと分かっている。
が、流石に眠気には勝てる訳でも無く裕子は意識を遠のいてしまった。

ーー
ーーー
ーーーー

暖かい風に揺れた髪が頬に触れ、擽ったくて目を覚ました。
意識が大分覚醒してくると裕子は目の前の光景に呆然とした。
「…此処は、何処?」
目の前に広がったのは見渡す限りの緑。
上を見上げればピンク色の花びらが舞い降りていた。
「桜…?」
自分はどうやら、一面緑の丘の上に立つ大きな桜の木の下に居るらしい。
夢じゃないかと疑ったが意識ははっきりしている。
「私、こんな所にいつ移動したの?」
確か自分はスーパーの屋上で休んでた筈。
それにこんな場所なんて知らない。

ーーヒラヒラ…

そんな事を考えていると裕子の目の前に虹色の蝶が舞っていた。
「…綺麗」
見たことの無い蝶に見惚れてしまった裕子は、無意識に手を伸ばした。
もう少しで触れそうだった虹色の蝶はひらりと飛んでしまった。
裕子は虹色の蝶を目で追うと、誰かがこちらへ近付いて来るのが見えた。
その人は腰位はあるだろう。
長い綺麗な紫色を持つ髪で裕子の瞳が同じのオレンジ色。
それに耳と首、手首に付けているアクセサリーが裕子が付けているのと同じ。
まさに今の自分と似ていると言っても良いかもしれない。
女性はオレンジ色のドレス姿で、腰に膝位の長くて大きなリボンを付けていた。
紅色をした手袋を付けて、虹色の蝶を指に止まらせた。
その女性はまさに絵になる位綺麗だった。
とても美しく優しそうな雰囲気で凛とした女性だった。



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