雅の過去

□1話
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「姉さん!!行かないで!!!」

泣きながら手を伸ばす彼女に、自分は見向きもせず、離れて行くしかなかった─────







百目鬼家は忍の中では知ってる人などほとんど居ない家だった。
知っているとすれば、それは頭のいい『悪人』ぐらいだ。
あの家系は化けることが得意だった。
一目見れば完璧に化けることができた。
一人を除いては


「貴様!まだこんなことも出来ないのか!?」

「申し訳ありません…」

「もういい!貴様より千春を鍛えた方が我が身にもなるというものよ!」

簡単な化けの練習
それすらも上手く出来ない私
家の皆は私を使えない、と捨てた
次期当主も私の妹が継ぐことになっていた



「姉さん、団子いる?」
「…千春…えぇいるわ、ありがとう」

少し遠慮がちに団子を差し出したその手に、私はどんな顔をすればいいかわからなくて、苦笑して団子を貰った



「…千春は順調?」
「もちろん!今日も一目見て覚えられたんだよ!化けるのは楽しいから好き!…あっ…ごめんなさい」

私の事を気にしてなのか千春は謝った、だが…謝るのは自分の方だ

自分が上手く化けれないがために千春に余計な負担をかけている

化けるのが楽しい今がいつか終わってしまう…私が不甲斐ないばかりに

私は…どうすればいいのだろうか…
























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