雅の過去
□1話
1ページ/1ページ
「姉さん!!行かないで!!!」
泣きながら手を伸ばす彼女に、自分は見向きもせず、離れて行くしかなかった─────
百目鬼家は忍の中では知ってる人などほとんど居ない家だった。
知っているとすれば、それは頭のいい『悪人』ぐらいだ。
あの家系は化けることが得意だった。
一目見れば完璧に化けることができた。
一人を除いては
「貴様!まだこんなことも出来ないのか!?」
「申し訳ありません…」
「もういい!貴様より千春を鍛えた方が我が身にもなるというものよ!」
簡単な化けの練習
それすらも上手く出来ない私
家の皆は私を使えない、と捨てた
次期当主も私の妹が継ぐことになっていた
「姉さん、団子いる?」
「…千春…えぇいるわ、ありがとう」
少し遠慮がちに団子を差し出したその手に、私はどんな顔をすればいいかわからなくて、苦笑して団子を貰った
「…千春は順調?」
「もちろん!今日も一目見て覚えられたんだよ!化けるのは楽しいから好き!…あっ…ごめんなさい」
私の事を気にしてなのか千春は謝った、だが…謝るのは自分の方だ
自分が上手く化けれないがために千春に余計な負担をかけている
化けるのが楽しい今がいつか終わってしまう…私が不甲斐ないばかりに
私は…どうすればいいのだろうか…
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽