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□3話
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03 臨也視点
来神高校の入学式。
新入生がやや緊張した顔付きで入っていくのを見ながらも俺も後に続いた。
クラス分けの紙を確認するとどうやら俺は3組中1組のようだ。

クラスを確認した俺は入学式会場に向かった。
「あれ?ドタちん隣なの?」

「珍しくまともに来たんだな。」

「珍しくって何?俺だって入学式ぐらい来るよ」

「中学の卒業式すっぽかしたろーがおまえ」

「ああそんな事もあったね」
そう言ってドタちんの隣の席に座る。

「やあ、女泣かせ」
聞きなれた声がすると思って見ればドタちんの隣に新羅が座っている。
何の偶然だろう。中学時代に連んでいた友人が高校の入学式に同じクラスで席が隣とか。
というか開口一番に女泣かせって何なの確かに泣かせてきたのは事実だけど。
「その呼び方やめてよ新羅。」

「うわーブレザーまで着てる。中3で散々行事休んどいてどうしたの気持ち悪い後僕に言わせれば君のドタちん呼びをやめた方がいいと思うよ」

「んー春だからじゃないの?心機一転ってやつ?
後ドタちん呼びは門田君にぴったりのネーミングだと思うよ俺」

「切実にやめてくれ」

「臨也、門田君困ってるじゃないか」

「ドタちん、俺ちょっと寝るから入学式始まったら起こしてね」

「え?無視?しかも心機一転したんじゃないの?」

「口だけだろきっと」

門田がそう言うと臨也は門田の肩に寄りかかって寝る体勢に入ってしまった。

「入学式始まる前から寝る奴とか初めて見たよ」

「まあ来ただけいいんじゃないか?」

「そうだねー。あっ静雄まだ来てないなー。一緒のクラスなのに」


........静雄.....?.......................!!!!!!!!

「静雄ってだ『静雄って誰?!」
門田の声を遮って臨也がガバっと起き出す。

「ちょっと君寝てたんじゃないの?」

「いや寝てたけど静雄って誰?新羅の友達なの?」

「うん。転校生で小学校の時友達になって中学は君らと同じ学校だから一緒じゃないけど携帯で連絡を取り合う友達だったよ。」


「.......苗字は?....」

「ん?平和島だよ」

平和島....静雄....。

シズちゃん?でも安易にそう決めるのもよくない。同姓同名でも別人という可能性もあるし

俺がそう思った時だった。新羅が「あっ来た!!」と言うから後ろを振り返れば俺と同じブレザーを着た男が近寄ってくる。

細いが華奢ではない体躯。髪は染めたのか金髪で長身。大人びた端正な顔立ち。幼少期とは全く違う容姿に彼であるとは絶対言い切れないがそれでも彼だと脳が訴えている。

かっこいい

不覚にもそう思い彼を見つめてしまった自分に呆れ苦笑する。
彼は新羅にそっけなく挨拶すると席に戻ってしまった。

「もしかして静雄の事知ってるの?」

「うんちょっとね。」

「へー!臨也が!後で紹介しとく?」

「いや...いい」

自分で彼に言いたいから。

「何でさ?」

「何でもいいだろ。ほら式始まる」
だから前向けと新羅に言えば、また「何でだよ」と疑いの目を向けながらも前を向いた。

その後の入学式、相槌を打ってさも聞いてますという態度を考えながら頭ではずっとシズちゃんの事を考えていた。おかげで式後に新羅には「真面目な臨也とか気持ち悪い」と散々言われた。
式後の移動で1組の教室に移動した。席順は案の定、俺の席の後ろにドタちん、その後ろに新羅でまあ騒がしくなりそうだ。
シズちゃんとは離れたけど今日何回も首だけを後ろに向けてしまった。
不審に思われたかもしれないし、俺も何でこんな事しているのか分からなかったけど気になって仕方なかった。
自己紹介でシズちゃんは甘い物が好きだと言っていてあの頃とそれは変わらないんだなと思った。


「結局、話しかけられなかった。」
式終了後、直ぐにでも話に行こうと思っていたのに彼はすぐ新羅のとこに行ってそのまま帰ってしまった。俺を知ってるはずなのだから誘えばいいのにと思いつつもドタちんと一緒に帰ってきた。
全く俺らしくもない。
とりあえず明日話をしなければ。

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