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□5話
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05静雄視点
本当に今日は最悪だった。
入学式の時にやたらこっちを見てくる奴に呼び出されたと思ったら記憶にもない事言われた挙句、大層馬鹿にされキレて暴力を振るったらナイフで攻撃され、荒れた教室を元通りにして職員室にクソノミ蟲と謝りにいけば椅子が使い物にならなくなったと教師達から何故か俺だけ説教された。ふざけんな。
腹立たしいが俺が記憶を無くしているかもしれねえと何度も記憶を辿ったがやっぱり駄目だ。
全く記憶にねえ。
だが奴は俺の事を知っていて俺が力を制御出来ない事も知っていた。
初対面じゃねえのか?俺がただ記憶を無くしてるだけなのか?
にしても顔ぐらい覚えてねえか普通。
駄目だ。考えれば考える程分かんねえ。
ただ明日、顔だけはいいノミ蟲と話さなねえといけねえって事は確かだ。
だがあの口の悪い奴と話せるかと言えば無理なのだが
「クソ・・・」
俺は自室のベットに身体を預けた。
寝ればこの気分も幾分かマシになるだろう。
そう思って俺は眠りについた。
翌日。
結局昨日の事が気になって浅い眠りを繰り返しながら起きた。
とりあえず何か食わねえと思って食パンを口の中に突っ込んで家を出た。
そして憂鬱な気分のまま俺は学校に向かった。
いつもより大分早く来たのだが俺が着いた頃には奴は既に着席していて俺を見つけると直ぐに俺の席までやって来た。
何を言われるのか身構えていると少しの沈黙の後、ノミ蟲が口を開いた。
「ごめんシズちゃん、酷い事言って。」
まさかノミ蟲が謝ってくるとは思ってなくて一瞬唖然とした。だが俺も謝らなければならないのですぐに返答する。
「いや俺の方こそ悪かった。後記憶の事なんだがやっぱり思い出せなかった。」
「・・・・・・・・。」
「?おい「何でそういう事言うのさ」
「えっ?」
臨也の纏っていた空気が一瞬にして鋭くなり氷のような眼差しで俺を見ると奴は口角を上げる。
「これだから単細胞は嫌なんだよ」