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□7話
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07 静雄視点

あのクソノミ蟲と喧嘩してからというもの俺の日常は奴のせいで滅茶苦茶だった

まず、教室に入ってきて机の中にゴミが入ってたり椅子に画鋲が刺さってる。毎日だ。ガキかあいつは。

そして休み時間にちょくちょく俺をコケにして高笑い、それに俺がキレて奴を追っかけまわしたり窓ガラスが割れたり何だんか壊れる始末だ。

確実に俺とノミ蟲はブラックリストに載ってるだろうな。

一番嫌なのは昼飯と下校には必ずノミ蟲がいるという事だ。
いや俺は新羅と最近仲良くなった門田って奴と一緒に飯食ったりしたいだけなのだが、生憎ノミ蟲と中学時代から付き合いがある為、結局ノミ蟲と一緒に行動する事になる。
その為に普通に会話して下校する事も出来ず、昼飯も大分不味くなりというわけだ。

そんな日常を送っていて今日のHRは席替えだった。
女子は大概怖がってるし男子とも特に喋る事もなければ話しかけられる事もないので、出来れば近くに新羅か門田がいればいいと思いながらくじを引いた。
まあ、あまり前過ぎても授業中に熟睡できねえから困るんだが…。

くじの番号を引けば前から3番目の窓側席だった。しかも前には新羅、その隣には門田だ。
俺は心なしかテンションが上がった。
最近、悪い事の連続だったからきっと天の神様がご褒美与えてくれたんだと。後は隣に誰が来ようが構わねえ。俺はどっしりと身構えていた。

「いやぁーシズちゃん。もしかして君隣なの?今日槍でも降ったりするのかなぁ?」

「そうだな槍どころか爆弾投下されんじゃね?」

「そうかー今日で地球滅亡するのかー。俺死んでも君の隣とか嫌だったから」

「奇遇だな 俺もだ」

訂正だ。天の神様なんていねえ。いるのは厄病神だった。
奴は席に座ると机を持って大きく右にズレる。
あれかこっち来んじゃねーよっていう牽制のつもりかクソうぜえ。
ノミ蟲は一瞬こっちをチラリと見ると前の机に座ってる門田の背を叩くとたわいもない話をし始める。
俺にもそういう話を振れないのかと思いながらも机に突っ伏して寝た。






・・・・・。しまった。
現文の教科書忘れちまった。

しかも気づいたのが授業開始ベルが鳴って先公が教室に入ってきた直後だ。

・・・また突っ伏して寝るしかねえな。
前の席の女子は震えながら見せてもらったがノミ蟲の場合無理だろ。

俺はそう諦めると先公の話が始める前に机に突っ伏した。





それから何分も経っていないだろう。結局眠れずのそのそと起き上がると折り畳まれたメモ帳の切れ端が置いてあった。
首を傾げながらも広げた。

『教科書、忘れたの?』

俺はちらっとノミ蟲を見ると奴もそれに気づいたのか早く返せとでも言うように目配せする。

仕方ねえと思いながらも俺はそれに素早くペンを走らせて臨也に投げつける。

『てめえには関係ねえ』


『忘れたんなら見せてあげてもいいよ教科書』


『てめえ何考えていやがる』

『酷いなー。純粋な親切心だよ。』

『クソ怪しいな』

『ただし条件があるよ』

『条件?』

『うん。この紙に見せて下さいって100回書かないと駄目っていう条件。』

その文にイラっときてノミ蟲を見れば奴は嬉しそうに口角を上げていた。

「誰がてめえなんか頼るかよふざけんな!」

俺は椅子から立ち上がって叫んだ。
しまったと思った時にはもう遅い。

「平和島君。廊下に立っていなさい」

はいと言わざるをえない状況で皆が唖然とする中奴は一人腹を抱えて笑っていたのを俺は忘れねえ。


臨也視点。

「シズちゃんのいる手前、あんな事を言っちゃったけど本当は隣になった事そこまで嫌じゃないんだよね。
それは観察対象として興味深いからね。
それ以外の感情は無いよ。

教科書も最初は貸してあげようと思ったけど丁度使うページにシズちゃんの落書きを描いちゃって即消しゴムで消しても跡が残るから貸すに貸せなかったんだよね。
まあ本人に言うつもりは毛頭ないし、シズちゃんの落書きを描いたのも授業が退屈で暇だったってだけの話。

後廊下にシズちゃんが立たされたっていうのも面白かったけど、俺が5時間目の授業の時に教科書を忘れた時なんて最高だったよ。
自分に頼ってくると思ったのか不敵に笑ってたシズちゃんだったけど俺がスルーして隣の女子に教科書見せてもらったらすっごいイラついちゃって。

俺が貸しを作るとでも思ったのかなー?馬鹿だよねー。

その後額に青筋浮かべて俺をずっと睨んでくるわけ。全く周りも怖がってるのによく出来るよね〜。」

とそこまでをドタちんに電話口で喋ってたら一言「仲よくなれよ」と呆れられた

全く俺がシズちゃんと仲良くできるわけないじゃない。

嫌いなんだから。

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