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□13話
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13 臨也視点

俺は寝室のベッドの上で非常にもやもやした気分になっていた。


今日、バレンタインデーで抱えきれない程チョコを貰った俺はドタちんと一緒に帰っていた。

ドタちんは優しいからチョコを持つのを手伝ってくれた。

持ってもらったチョコはあげるよと言ったら頑なに断られた。

気持ちぐらい受け取ってやれと言われた。全くドタちんらしいや。

学校の校門を出てしばらく二人で歩いていた所、ドタちんにシズちゃんの事が好きなのか?と聞かれた。

唐突に何だよと思っていたら今日の朝、俺がシズちゃんの下駄箱にチョコを入れているのを目撃したと言われた。

正直、驚いた。

人目を避けて早朝に学校に来てチョコを入れたというのにそれをドタちんに見られてしまったというのだから。

俺が肯定も否定も出来ずに黙ってたら、その後ドタちんは女子生徒がシズちゃんの下駄箱にチョコを入れるのを見たと言っていた。

チクリと胸が痛んだのと同時に自分のすっかり変化した心情に嫌気がさした。

「・・・・。嫌いでは無くなっちゃったかな」

俺がそう言うとドタちんは「そうか」と言っていた。

それ以降、会話は殆ど無かったが、ただ別れ際に「素直に全部言ってみたらどうだ?」と言われた。

「言えるわけないだろ」と即答した。

シズちゃんは俺が嫌いなのだ。

俺だと分かればプリンだろうがチョコだろうが受け取ってくれないだろう。

まず仲直りすら出来ていない状況で告白なんて以ての外だ。

それに俺自身が自分の感情を否定したいと思っているのにそんな事言える筈がないのだ。


「はぁー。」

溜息が漏れる。

変化など欲しくなかった。

彼に会えば自然と嬉しくなってしまう自分も、彼の些細な事に嫉妬してしまう自分も要らなかった。

不要な感情だ。
自覚などしたくない。

俺は彼が嫌いだ。

そう思いたい。

ずっとそう思っていたい。

一人焦がれ苦しむ思いなどしたくない。


「シズちゃんなんて大っ嫌い」


俺をこんな風に変えてしまうんだから。

大嫌いだ君なんて。

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