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□18話
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18 静雄視点。
「平和島静雄をぶっ潰せ!」
その掛け声と共に鉄パイプを持った不良共が一斉に襲いかかる。
数はざっと20人くらいか。
俺はそいつらを素手で振り回して放り投げれば、次々と脱衣しながら地面へと落下していった。
中には俺を知らなかったのか腰を抜かして逃げていった奴もいたが大抵の奴らはボコボコにしてしまった。
可憐が俺に告白してきた翌日から顔も名前も知らねえ奴から喧嘩を吹っかけられている。
原因はノミ蟲で間違いねえ。
現に今も教室のベランダで一人高見の見物だ。
『君には俺がいるのにね』
あの時、奴がそう零した言葉が頭を過る。
何だって俺は奴の事がこんなにも気になってんだ。
静かになった放課後の校庭に可憐がやって来る。
「すまねえ。また帰るの遅くなっちまったな」
そう言えば可憐は左右に首を振ると俺の横にピタりと寄り添うようにして歩み出す。
「臨也君とは決着付けなくていいの?」
帰り道、ふいに可憐にそう聞かれて俺はかなり申し訳なくなった。
気を使わせてしまっている自覚はあったし可憐よりもノミ蟲を優先していい筈もない。
俺は曖昧に返答するのもどうかと思って「今度一緒に何処か行くか」と誘えば、一瞬驚いた顔をして「うん」と嬉しそうに答えた。