MAIN 2

□☆モブ男は見た!いち!☆
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平和島静雄と折原臨也と聞いて知らない奴は居ない。何たって奴らは世間を騒がせる有名人だ。

借金の取り立て屋を営む平和島静雄。またの名を自動喧嘩人形。車をサッカーボールの如く転がす等その能力は人智を超えている。

一方、新宿を拠点としている情報屋の折原 臨也。整った容姿に頭脳明快だが、中身は人の心を弄ぶ悪党だ。

そんな二人が顔を見合わせれば最後瞬くまに喧嘩というには行き過ぎたもはや命懸けの戦いが常に繰り広げられている。

で、俺はと言うと二人とは違って何処にでもいる普通の大学生だ。

「のりや」という名前から友人からは海苔とか海苔巻きとか海苔男とか兎も角、海苔に関するあだ名をつけられた。

それでも一般人には変わりないし俺の自己紹介をしていても仕方ないので今現在の俺の状況を説明しよう。

今、俺の前方には折原臨也がいる。言っとくけど、尾行とかじゃないからな。進む方向が同じなだけだ。
第一尾行なんてしたら後で何をされるか分かったもんじゃない。

俺は今日夕飯に寿司を食べる予定で露西亜寿司に向かっているだけだ。

「もしもしー♡今何処?」

スマートフォンを耳に当ててやけに明るい声で電話をし始める。
彼女だろうか。

「あっもう着いたの?じゃあ店内で待ってて。俺も今そっち行くから。…。大丈夫俺が今日は奢ってあげるよ♡じゃあ露西亜寿司でね〜♡」

・・・今、露西亜寿司って聞こえてきたから折原さんも露西亜寿司に行くみたいだ。すげー偶然だ。というか方向も行き先も同じって偶然なのか?

いや、その前に飯を奢ってやるって言ってたが…やっぱり彼女なのか?…気になるな…。まあ、どうせ俺も入るから折原さんの相手が誰だかなんて分かってしまうのだが・・・。

そんな事を思いながら歩いていると、

「Oh!キョウハ、ダメデース!」

!?

中に入ろうとして露西亜寿司の店員のサイモンが入口から出てくる。

いやいや、折原さん普通に入っていったけど?・・・。


「キョウハー、カシキリヨヤクハイッテルネー!だからダメネー」

「・・・・。どうしてもですか?」

「ダメネー!アキラメテカエッテクダサーイ!」

「・・・・。」

客に対して帰れとは随分な扱いだが仕方ない。

寿司は此処じゃなくても食える。場所を替えよう。

聞き分けのいい俺は後方から「マタキテクダサーイ」と言って手を振るサイモンさんを一瞥してその場を去っていった。


それから2時間後

俺は再び露西亜寿司の前にいる。

いやだって気になるよ。貸し切り予約をしてまで会いに行く女って一体誰なんだ?って思うじゃん。

露西亜寿司から出てくる折原さんを今か今かと待ち構えている俺は側から見れば立派なストーカーだ。いや俺も何でこんな事をしているのか分からない。

季節が春だが、夜風は肌を刺すように冷たい。

もうこの電柱に隠れて30分ぐらい待機しているが、一向に出てこない。

寒いし諦めて帰るか。


「ご馳走様ー。今日はありがとうねー。」

と思ってた矢先に出てきましたよ折原さん。
続いて折原さんの横に並んだのは金髪で黒いサングラスをかけ見慣れたバーテン服を着た.....え?....

えーーーーー!?何で平和島静雄?お前ら寿司なんか食える仲なの?違うだろ!!

「シズちゃん、もっと食べれば良いのに〜。シズちゃんの為なら俺、幾らでも出してあげるよ〜。」

ちょっと待った!奢ったって平和島の飯奢ったって事?信じられない。いやもう平和島に折原さんが擦り寄ってること自体が信じられない。

「俺は十分食った。ありがとうな」

「どーって事ないよ♡またどっか食べに行こう♡貸し切りで♡」

「クソ可愛い奴め♡」

・・・不思議だ。言葉の節々に♡マークが見える。

あれか!そうだ分かったぞ!今は休戦中なんだな!なんか凄い仲睦まじいけど、きっとそうに違いない!

じゃなきゃ二人にとってデメリット過ぎるだろ!この光景!

俺が勝手に自己解釈している内にも二人の会話はヒートアップして次の約束の話をし始める。

いや、デートじゃない。何か事情があっての休戦中だ。デートの話じゃない絶対。断じて違う。


俺は聞くに耐えられなくなってその場から逃走した。
 

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