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□1話
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01 臨也視点

小学校の帰り道、人気のない公園で俺はベンチに座っていると唐突にガッと腕を掴まれた。
「何ですか?」
腕を掴まれた拍子に顔を上げれば肥えた大きな男がニタリと笑っている。
「一緒に御飯食べにいかないかい?金は沢山あるから」
俺の背中に悪寒が走ったのと同時に逃げなければと思い、遠慮なくその男の股関に蹴りをお見舞いした。
うっという声と共に崩れていく男を見て全速力で走り出そうとした時だった。
「!?痛っ...」
背後から抑えつけられ後ろを見ると別の長身の男が立っていた。それだけではない周囲には蹴りを入れた男を含めて4人もいた。
(いつの間に・・・もしかして最初から居たのか?)
「このクソガキ!」
「痛っ...」
腕に力を込められる。
「おいバカ!傷付けんなよ!痛えよな?それにしたって綺麗な顔してやがる」
別の男が俺の顔に指を這わせる。俺は恐怖で目の前が真っ暗になった
「....離して...下さい...お願い」
恐怖から涙を流しながらそう言えば男は唾を飲み込んでニタリと笑うだけだった。
その刹那車のエンジン音が聞こえてきた。
「さっさと連れて行け。」
背後にいた男が俺を軽々と持ち上げ歩き出す。
「悪いなべっぴんさん。泣かれてもそそられるだけなんでね。」
男がそう言って笑った時だった。
酷い騒音が聞こえてきたと思ったら車が異様な形に変形をしていた。
そして車の側にいた男達二人も完璧に伸びていた。
「そいつを離せ」
まだ自分と同じ年くらいだろう少年がそう言い放つ。
「平和島だ...」
化け物だ!
そう叫ぶと俺を抑えていた長身の男は逃げ出した。
「おい!逃げるな腰抜け!」とリーダー格の男は言うが少年のパンチを受けてそのまま気を失ってしまった。
少年は地面に座ったままの俺に手を貸そうとしたが何を思ったのか一瞬動きを止めると走り出した。
「何で逃げるのさ」
俺が声を掛ければ少年はくるりと振り返る。そして少し時間を置いて口を開いた。
「俺が怖くないのか?」
その言葉を聞いて意味を咄嗟に理解して俺は胸が痛くなった。
「あいつらの方が怖かった。
助けてくれてありがとう。」
そう俺が言えば少年は少し嬉しそうな顔をした。


名前は何て言うの?

平和島...静雄...

俺君と友達になりたい。

てめえ俺の噂知らねえのかよ

知らないよ。
ここに越してきたばっかりだから。でも俺にとって凄く君は強くて魅力的な存在だよ。

ねえ連絡先教えて。

…。

なんで黙るのさ。

携帯持ってねえ。

じゃあ週に何回か会おうよ此処で。

なんでお前そんなに必死なんだよ

さっきも言っただろ。魅力的だって。

…。

また黙るの?シズちゃん

は?なんだシズちゃんって

俺が今つけたあだ名。
ねえまた来週ここに会いに来てよ。
俺待ってるから

....分かった。

ありがとう。俺の名前は折原臨也

よろしくねシズちゃん




シズちゃん
















「嫌な夢だな。全く。」
俺はそう言って時計を見る。
時刻は朝の10時。
春休みという名の長期休暇ですっかり寝入ってしまったが自らの過去が夢になるとは思ってもみなかった。まあ忘れた事など一度たりともないのだが。
昔から俺は非の打ち所がない奴だと言われた。
何不自由なく育てられ両親からの愛情も目一杯与えられてきた。
けれどもそれが俺の容姿や成績、要領の良さだけに向けられていると気付くのも遅くはなかった。
その事実に嘆く事もなく両親に抗議をする事もなかった。
社会的地位にしか興味のない両親に何を言っても無駄なのだ。
適応力と判断力ですぐさまそう解決した。
小学校時代、学校生活も私生活も同じだった。
皆俺の上部しか見ていない。
その例が名前も知らない人間から告白される事や成績がいい人間を贔屓する教師だったりする。
そんな時にシズちゃんと出会った。
出会ったというより誘拐されるのを助けてもらったと言った方が正しいが。
あれから週に一度彼と会って色んな事を教えてもらった。
同い年だったり、好きな食べ物だったり、何でも。
そして生まれ持った能力でそれを制御できない為に孤独を強いられる事も俺には話してくれた。
そんな自分を友達として認めてくれた事を嬉しいと言っていたし俺の事を好きだと言っていた。
俺も嬉しかった。俺を内面で見てくれる彼と友達になれた事が。
ずっと続くと思っていたのに彼はあっさりと俺の前から姿を消した。

どんな理由があったのかは知らないけど、お陰でこっちは人間不信が強くなったし色んな女に手は出したし性格は一層捻じ曲がった。
あっでも新羅はそんな俺でも受けいれてくれたけどさ。

そう思いながら一人暮らしのマンションの窓を開ければ春風が入ってくる。

新しい1日が始まろうとしていた。

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