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□9話
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09 臨也視点
文化祭当日
俺は早速メイド服を身につけている。
狩沢さんいわく女子と比較してフリフリは少ないし丈も短くないと聞いて着てはみたが・・・

「……ロッカーから出たくないなー」

短くないと言ってもせいぜい膝上10cmぐらいだから短いとは言えないし白いフリルのついたカチューシャを頭にかぶるというのが男としてもかなり抵抗がある

がグズグズしても何も始まるわけではない。

俺は意を決してロッカーを出ると目の前に執事服を着たシズちゃんと出くわした

白いシャツに黒いタイとジャケット、ウェストコートに革靴と時計。

着こなし具合が半端なくて悔しいけどシズちゃんは黙ってればかっこいいと思った。

俺がシズちゃんの姿にちょっと、ほんの一瞬だけ見惚れてるとシズちゃんも俺の格好をまじまじと見てきてなんだこいつと思っていたらシズちゃんが口を開いた

「随分と似合ってるじゃねーか」

「馬鹿にしてんの?」

「いや褒めてる」

「…別に嬉しくないんだけど。」

「何でだよ」

「じゃあシズちゃんは俺にかっこいいって言われれ嬉しい?」

「ちっともだな」

「うんそういう事だよ」

「キャー!!超素敵o(≧▽≦)o これは絶対凄いって!二人共頑張ってね!」

突然俺達の会話に入ってきた狩沢さんの声にかなり驚きつつもその後もめいいっぱいの応援を受けながら俺とシズちゃんは接客する事になったのだった。




「キャー折原君メイド可愛いー写メっても良いですか?o(≧▽≦)o」

「折原君超似合ってるねー♡」

「可愛いー(≧∇≦)後でテーブル来て折原君ー♪( ´θ`)ノ」


・・・・うわぁ・・面倒くさ。
いや店が繁盛する事は良いと思うんだけどさこういうの一つ一つ対応していったらキリないじゃん。
というか俺よりシズちゃん方が断然良いのに何で俺ばっかり声掛けられるんだ?

女子の歓声が響く中、俺は注文を確認してその場を立ち去ろうとしてガンと誰かにぶつかった。

これはシズちゃんだなと思った。だってぶつかった瞬間に衝撃で転んでしまったのだ。

案の定、顔を上げればシズちゃんでお盆に乗せたパフェがひっくり返っていた。
成る程、どおりでなんか髪とかべっとりすると思ったらクリームかこれ

シズちゃん気をつけて と言おうとして俺は言葉を失った。

「ちょっと、ちょっと待ってよシズちゃん!幾ら何でも俺で卑猥な妄想とかしないでくれる?気持ち悪い。」


「いや別にそんなつもりじゃねえ」

「そんな真っ赤な顔で言われても説得力皆無だから。とりあえず今日一日俺に近寄んないで絶対」

俺はシズちゃんにそう釘を指すと服と髪が汚れたと言って一旦抜けた。
これでお役目終了かと思いきや替えのやつがあると言われて用意周到だなと関心したのは無理もない。

それよりシズちゃんがクリームと俺でそういう妄想をしたという事がショック過ぎて何も言えない。
本当顔合わせたくない
シズちゃん変態だったのか・・・。

そう思いながらも俺は替えのメイド服を来て再び顔を出した。
やはり顔は見れずに 接客をしていればスカートの端を掴まれてばっと振り返る

「ちょっといいかなー?」

パフェを先程注文した男だった。

「何でしょうか?お客様?」

男のメイドに興味でもあんのかという言葉を飲み込んで対応していると
突然腕を掴まれ前のめりになったところで顎を指でクイッと持ち上げられる。

そして顔を近づけられ「君をお持ち帰りしてもいいかな?」と寒い事を言われ、俺は全身に鳥肌が立った。

勿論、気色悪いホモに関わる気はさらさらないので俺が抵抗しないのをいい事に油断している奴の靴を踏もうとした時だ

「うおっ」
ガンと音がしたと思ったら男が俺の前に崩れおちる。
俺ははぁーとため息を吐いた。

「あーあシズちゃんがお盆で叩いちゃったから失神しちゃったじゃない。」

「てめえが少しも抵抗しねーからだろーが」

「君が直接手を出さなくとも俺は奴の靴を思いっきり踏み潰す算段でいたんだけど。というか俺に近寄るなって言って何で来るの?まさか嫉妬?(笑)」

「はっまさか。
嫉妬はねーが、てめえと野郎のキスシーンなんて吐き気がするからな」

「はっ!つまり全くてめえは俺だけを見てればいいんだよって奴ですねo(≧▽≦)oそしてイザイザは嫉妬深いシズシズに心も身体を素直になってゴォーール「頼むから黙れ狩沢」

ドタちんのナイスツッコミと狩沢の酷い妄想に苦笑いしながらその後も接客を行い無事文化祭は何事なく終わったのだった。



「んー疲れたなー」

「お疲れ、メイドさん。可愛いかったよ」

「黙れ新羅。」

「冗談に決まってるだろ」

「いや可愛いとか聞き飽きたんだよ」

「そういや言われてたもんね」

「黒歴史だよ本当」

俺は溜息を漏らすと新羅と一緒に帰路を辿っていた。

「今日の見てて思ったんだけど、静雄ってさ君の事嫌いだの何だの言っときながら君の事助けてる時あるよね」

「はぁ!?いつ?」

「ほら前の体育祭の時とかあったじゃないか」

「シズちゃんを窒息死させようとした事しか覚えてないんだけど」

「何でそこなの?クラス対抗リレーの時だよ。」

「リレーの時??」

「うん。君が当日足悪くしてリレー出れないってなった時静雄が代わりに出たじゃないの」

「いや足悪くしたって言っても原因はシズちゃんとの喧嘩だから。」

「だから静雄は責任を取ったんじゃないの?」

「責任?シズちゃんが?ハハッ。それはないよ。俺に対して申し訳ないとか思わないでしょ?いつも派手な喧嘩してるくせに。」

「喧嘩だって静雄は加減してるだろ。じゃなかったら君生きてないよきっと」

「・・・まあそれはそうだね。悔しいけど。で何?新羅の言いたい事ってつまりシズちゃんは無意識に俺に気を使って接してるって事?ありえないよ」

「ありえなくても実際そうじゃないか。今日だって君静雄君いなかったらキスされる所だったんじゃないの?」

「だーかーら、その前に足踏んでるってば」

「変なすれ違い起こして喧嘩するよりお互い歩みよりなよ。」

「なんで結局そこに辿り着くかなぁ・・・。」

「君が捻くれ者だからだろ」
だからずっと仲直りが上手くいかないのさと新羅に言われるが、俺はシズちゃんとの関係を修復するつもりはない。

それは俺だけでなくお互いが嫌い合っていて両者共に関係を良好にしたくないと思っているから。

それでいいと思う。

今更仲良く友人ごっこをしたいとも思わない。
例え自分がずっと会いたかった相手であっても。

「俺は仲良くなんてしたくない」
だからこのままでいいじゃない。

俺がそう言えば新羅は大層呆れたような顔をしてこう言った。

「心情は変わりゆくものだよ臨也」

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