孤独の光
□第1章 十番高校
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『…よし』
鏡に写る制服姿の自分を見つめ
私はそう呟く
鏡に映る私は今日から通う新しい学校、十番高校の制服を身にまとっている
中学の時に目覚めた戦士としての力。私は自身の星の手がかりを探すため、敵と戦い続けて来た。戦えば手がかりが集まるなんて保証はもちろん無く、ただ行き場の無い思いを戦う事によって発散していたのかもしれない…。
そして高校に上がると共に私は世話になっていた養護施設を出、一人暮らしを始めたのだ。
無我夢中でただただ戦っていた私だったが、ある日感じた。何か強い光り輝く力の集まりを…。
その力を強く感じたのは、そう、ここ。麻布十番である…。
もしかしたらここに私の探し求めている、星の手がかりがあるのではないか。そんな気がして私はここに引っ越しをして来たのだ。
ガチャリ、と小さなマンションの鍵を閉め足を進める
特に力を感じる十番高校。
一体どんなところなのだろうか。
『…まぶしい』
電気を付けていない部屋から急に出た私の目には、太陽がより一層輝いて見えた…。
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「ちょっと!ちょっと!みんな!
大ニュースよぉぉおおお!」
朝から教室に響き渡る美奈子の声
「あれ。美奈子ちゃんどしたの」
「うさぎちゃん!聞いてよ!
さっきね職員室の前を走ってたらね!」
「怒られたのかい?」
「まこちゃんったら!違うわよ!」
慌てながら興奮し、うさぎに訴える美奈子に冗談ぽくそういうまこと。そんなまことの言葉も今の美奈子には伝わらない。
「じゃあなによー」
「転校生よ!またこのクラスに転校生が来たのよ!」
美奈子の言葉にうさぎはもちろん、教室に居た他の生徒も騒ぎ出す
「なんだよ、なんだよ、転校生?」
「ちょっと星野ー。盗み聞きはダメよ」
「あんなでかい声出されたら嫌でも聞こえるって」
「頭に響く」
「ですね」
黒髪の青年に続き、頭を抱えた銀髪の青年と苦笑する茶髪の青年も現れる。この3人組、今を輝くスリーライツもすこし前に転校して来たのだった
「やっだ〜ん!美奈子ったらそんなに大きな声出してたかしらあ!てへっ」
「そんなの良いから。どんな子よ、その転校生って子!」
アイドルが大好きな美奈子はスリーライツが現れると慌てて猫をかぶりだした、がうさぎによってそれは正された。
「いや、その〜、覗こうとしたら先生に見つかって…。」
「えー!じゃあ、わかんねえのかよ!」
「でもでもでも!私の直感から行くと男よ!!!」
どこからそんな自信が湧いてくるのか分からないが、胸を張ってそう言う美奈子
「なんでよ」
「もう、うさぎちゃん!そんなの決まってんじゃない!この愛野美奈子とラブラブスクールライフを送るためよ!!」
美奈子の周りに集まった一同は呆れたように彼女を見つめる
「ま、まあ。性別は分からないにしろ転校生が来るのは本当らしいし、楽しみじゃないか!」
「案外、それも妄想だったりして」
「はは…。」
夜天の発言にまことは苦笑するも、うさぎはキラキラとした瞳で
先生が入ってくるのを待っていた。
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「じゃあ、合図をしたら入ってきて。それまでここで待ってること」
『はい』
気づけば私は先生に連れられ教室の扉の前。言われた通り教室の外に立ち呼ばれるのを静かに待つ。
普通こういう時は、
友達が出来るのか。とか
クラスに馴染めるのだろうか。とか
心配するのだろう
けれど、私の体は緊張どころかそんな思いすら頭を過らない
施設で育ち周りから偏見の目で見られながら成長して来た私にそんな可愛らしい思いは無いのだ
胸に付けられたブローチに触れた時、先生から入って、と合図が送られ足を教室へ進めた…。
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