彼と私の12年戦争

□第1話
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早くここから逃げ出したい。
右隣の席に座るデイダラは上機嫌なのか、口笛を吹いている。
小学校も中学校も、私は必ずこいつの前後左右どれかの席だった。
そしてまた今回も。

「いやあ、奇遇だなあ、うん。
まさか苗字がオイラと同じ高校に進学してたなんて」
「………」
「まあ、これからもよろしくな!」

デイダラが満面の笑みで差し出してきた右手をこれでもかというほど睨んだ。
大嫌いよ、あんたのそういうところ。
触りたくもないし、話したくもない。
それに、どうしてこいつが同じ高校なの。
いつも試験では赤点ばかりとってたこいつが、どうして。

「ははん、どうしてオイラと同じ高校になったのかって顔してるな?」

こんなふうに、私は何も言っていないのに勝手に話を進めるところも大嫌い。
教えてほしい?だなんてニヤニヤしながら聞いてくるところも全然変わってない。
本当にあんたの全てが大嫌い。

「へへ、それはだな、うん。
きっとオイラと苗字が運命の相」
「いい加減にして」

何を言い出すのかと思えばこれだ。
我慢ができなくなって、最後まで話を聞かずに席を立った。
これ以上聞いていたら、今度は鼻の骨を折ってしまうかもしれない。
そんなことを入学早々してしまっては停学、最悪で退学が待ってるだろう。
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