彼と私の12年戦争

□第3話
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小学校に入学したてのとき、担任の先生にはクラスメイトに"さん"や"くん"をつけるようにと言われた。
大体の女の子は呼び捨てで接するようになったが、男の子とあまり関わらない私は今でも男の子には"くん"をつけて呼んでいる。

「デイダラくん、何してるの」

それは大嫌いなあいつに対してもそう。
私はいい子だなと、ときどき思う。

「いやあ教室はわかってるんだけど場所がどこかわからなくて、うん」
「はい?」
「渡り廊下を渡った隣の校舎ってことは覚えてるんだけど…。
あはは、なんせ教室が多いからな、うん。
さっき来たときは人に連れてきてもらったかんじだし」

目の前でヘラヘラしているこいつの顔をひっぱたきたい衝動に駆られた。
とっくのとうに委員会ははじまっている。
私を探しに来たくせに、どうしてあんたも場所を忘れちゃってるのよ。

「あっ…」
「なに、場所わかったの?」
「ちょ、ちょっとトイレ…」

デイダラは顔を真っ青にしてお腹を押さえると、小走りですぐそこにあるトイレへ駆け込んだ。
もう、いい加減にしてほしい。
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