タイトル未定

□第1章 第1話 暁
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心地よい揺れが私を起こした。
いつもより地面が遠くて、いつもより空が近いような気がした。
鼻をかすめるいい匂いに思わずクラクラする。
私は、大男にイタチと呼ばれていた写輪眼を持つ男に背負われていた。

「ああ、起きたみたいですよイタチさん」

右側を歩く大男はいつの間にか笠をはずしている。
世の中、色んな人がいるものだなあ。
鮫を連想させるようなその容姿は私の考えを作り変えた。

「ここが、今日からお前が住む場所だ」

洞窟のようだ。
ぽっかりと大きな穴が開いていて、視力に自信がある私でもその中は真っ暗で何も見えない。
私を地面に降ろすと、写輪眼を持つイタチと大男はその穴の中へ足を向けた。
急に、自分の置かれた状況が怖くなった。
怪しい男2人に、怪しい場所へ連れてこられたのだ。
普通、女の子なら誰だって怖くなるはず。
2人がこちらを見ていない間に逃げてしまおうか。

いや、それはきっと無理だろう。
逃げ足に自信はあるが、私にはすぐに捕まる未来が見えた。
2人の背中には、妙な威圧を感じるのだ。
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