彼と私の12年戦争
□第2話
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クラスを見渡すと、女の子は特にもういくつかのグループが出来上がっていた。
四六時中友達とべったりくっついていたいとは思わないけど、1人なのはそれなりに寂しい。
かといってあのグループの中に自分から話しかけにいく勇気もない。
「女子で1人なの苗字だけだなー、うん」
「………」
右から聞こえるつぶやき。
ちらっとそのほうを見れば、デイダラは両手で頬杖をついては意味ありげにニヤニヤしている。
いつもこうだ。
私が気にしていることを見事についてくる。
そこがこいつを嫌っている1番の理由。
「あっ!ねえ、あなた昨日これ落としたわよね?」
反対から聞こえてきたその声のほうを向くと、目の前には右手で出されたハンカチ。
顔をあげて女の子を見れば、ニコニコと笑っている。
もう1度ハンカチに視線をやれば、それは確かに私のものだった。
「昨日、トイレから出てくるあなたがそれを落としたのを見たの。
その場で言えばよかったんだけど、気づいたらもういなくって。
洗っておいたから汚くはないと思うわよ」
「ああ…どうもありがとう」
「あなた、なんて名前?
私はテンテンっていうの」
「名前よ。よろしくね」
お団子頭のテンテンは私の左隣の席に座った。
私の隣の席の子だったのか。
可愛くて優しそうだし、おまけに明るそう。
どうだ、私はもう1人じゃないわよ。
そう思ってデイダラのほうを見れば、つまらなそうな顔をしている。
こいつへの仕返しは、私が楽しそうにしているところを見せることなのだ。
そうすれば、いつでもこいつはこうしてつまらなそうにしている。