彼と私の12年戦争
□第3話
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「あースッキリした!」
「………」
待つこと数分、デイダラは満面の笑みで戻ってきた。
わざわざこんなやつを待っていた私が馬鹿らしく思えてきた。
「そういえば場所思い出したぞ、うん」
「えっ本当!?」
「ああ。ほら、そこだよそこ」
デイダラが指さしたのは、4つ先の教室。
こんなにもすぐそばにあったじゃないか。
15分も時間をオーバーしているのに、これ以上遅れるわけにはいかない。
よかったなあ、なんて笑っているデイダラの手を引いて私は走った。
「お、遅れてすいませんでした!」
教室のドアを開けると同時に大きな声で一言。
反応がなく不思議に思って教卓のほうを見れば、まだそこに先生はいない。
生徒たちは席に座って喋っている。
「あれ、先生は…」
「担当はカカシ先生だからまだ来てないんだろ、うん」
なんだ、担当はカカシ先生か。
ならまだ来てなくても不思議じゃない。
ふと、私の右手が何かを握っていることに気がついた。
見てみると私はデイダラの左手を握っている。
「あああああああ」
「うおっ!なんだよ、うん」
「早く離せ!変態!」
「はあ?お前が握ってきたんだろう、うん」
乱暴に手を離すと、デイダラはニヤニヤしながら私を見る。
耳がとても熱い。
急いでいたとはいえ、こんなやつの手を握るだなんて。
今日の私は本当にどうにかしている。