ペルソナ3 〜未来を照らすエメラルド〜
□Prologue
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『美優〜!こっちだよ〜!』
『あっ、はーい!
さぁお母さん、コッチですよ』
「あっ!ありがとう、美優ちゃん!真奈ちゃんに芽衣ちゃんも!」
酷く心配そうな表情の女性を連れて現れたのは、茶髪ショートヘアと緑の瞳の美少女、美優。
頭に括っている長い白のリボンを靡かせ、美優は女性の手を引きながら真奈たちの元へ駆け寄る。
女性の存在に気付いた子供たちは、それぞれ表情を輝かせた。
「「お母さん!」」
「もうっ、勝手にいなくなっちゃダメでしょう!?…心配したんだからね!」
「「…ごめんなさい」」
怒られてシュンと落ち込む子供たちを、しかし母親は結局しょうがないなと困ったように笑って許す。
そんな親子を見て美優たちは顔を見合わせながら楽しそうに笑った。
近所付き合いのある子供たちとその両親に誘われ、美優たちはデパートにヒーローショーを見に来ていた。
しかし、デパートに着くなりヒーローショーの宣伝に配られた風船を貰ってテンションが上がりまくった兄妹の兄の方が先に行ってしまい、その後を妹が慌てて追い、更にその後を真奈と芽衣が追ったのだ。
美優は母親が赤ちゃんが乗っているベビーカーを押していたのもあり、兄妹は2人に任せ、母親とゆっくり屋上に来たという訳だ。
「ウチの子達、中々大人しくしていてくれないか、何か起こすんじゃないかって思ってたんだけど…。
着くなり早速迷惑を掛けちゃったわね、ごめんなさい…」
『いえ、気にしないでください』
『うん!子供が元気なのは良い事だし、こんなの迷惑にすらなんないって!』
『そもそもこの子達と一緒って時点で、静かに過ごせるなんて思って無いですから…』
申し訳なさそうに頭を下げる女性に美優と芽衣は気にしなくていいと笑顔で返し、真奈は肩を竦めた。
すると――。
「真奈ねーちゃん!また《マホウ》みせて!」
「みせてみせて!」
『魔法じゃなくてマジックだっつの…何回言わせるんだキミら…ってかコラ引っ付くな!』
子供が嫌いなわけでは断じて無い真奈だが、何故か毎度毎度過剰に懐かれてしまい、その度に対応に困ってしまう。
ただ泣き止ませようと披露した簡単なマジックにあっという間に興味を引かれた兄妹は、キラキラと純粋な目で真奈を見つめる。
どうすればいいのかと困惑し、やがて助けを求める目で親友を見つめるも、その親友2人は良い笑顔を真奈に向けた。
『あははっ、また真奈が懐かれてる!』
『真奈ちゃんは優しいですからね。ふふっ』
『キミ等ね…』
尚も魔法(マジック)を披露してくれと懇願する子供達に困惑していると、不意に1人の男性が近づいて来た。
「子供達、見つかったか?」
「お父さん。えぇ、美優ちゃんたちのお陰でね」
煙草を吸いに喫煙所に行っていた子供達の父親が合流し、話を聞いてニコリと優しく笑った。
「そうか。いつも子供たちの相手をしてくれてありがとな、3人共。
いつものお礼って言うかなんていうか…ジュースでも奢らせてくれないか?」
『いえそんな!』
『いいじゃん、折角の好意だし貰っておこうよ!』
美優が慌てて断ろうとするも、芽衣がここは大人の顔を立てるべきだと笑顔で進言し、結局美優たちはジュースをご馳走になる事になった。
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