ペルソナ4 〜現在を守るガーネット〜

□Prologue
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〜Prologue〜



――其処≠ヘ、深い深い霧の中。

白く不気味なソレは視界を遮り、周囲の景色を覆い隠し、見えなくさせる。


人も、場所も――《真実》さえも。


『みんなー!どこー!?』


そんな霧の中を、1人の少女が彷徨い歩いていた。

その手に白銀色の棒を持ち、顔には白いフレームの眼鏡をかけている。

日の光の下ならば眩い光沢を放つだろう金髪を揺らしながら、少女は不安と焦りが入り混じった表情で辺りを見渡しながら声を張り上げる。


『っ、ユウくーん!
ヨウくん!チーちゃん!ユキちゃん!クマくん!
カンちゃん!リッちゃん!ナオちゃん!』


大切な友人たちの名前を、1人1人、祈るように叫ぶ。

しかし、少女の声に返答する者はおらず、不気味な霧だけが支配するその空間で、少女は1人立ち尽くす。


『…いや、だよ』

――カランッ、カシャンッ――


その手から滑り落ちた棒が高い金属音を鳴り響かせながら地面に落ち、地面に崩れるように膝を着いた拍子に眼鏡も地面に落ちた。


『ねえ…返事、してよっ』


ポロポロと大粒の涙を溢す少女の瞳は、美しい宝石のような赤。

いつもならキラキラと輝いているその瞳も、今は不安と寂しさで揺れており、徐々に絶望の闇が侵食し始めていた。


『1人にしないって…言ったじゃん…っ』


掠れた声で呟き、少女は地面に手を付いて項垂れる。


いつの間に、自分はこんなにも弱くなった≠フだろうと内心で思う。

1人でだって何でも出来た筈だ、1人なんて怖くなかった筈だ、1人でもしっかりと立って前を向けた筈だ。


我慢する事≠ネんて、苦ではなかった筈だ。


それなのに…。


『あたし、こんなに弱く…なっちゃった…。
それもこれも、全部ユウくんたちの所為だ!』


地面に着いた手を、グッと握り締める。


目をギュッと瞑れば瞼の裏に浮かぶ、自分に笑顔を向けてくれた大切な友人たちの姿。

自分が1人でいる事を良しとしなかった、1人で何でもできるのに手を貸してくれた、我慢なんてしなくて良いと言ってくれた。

そんな優しくて、暖かな人達。


けれど今、少女・芽衣は――《独り》だ。


『――ねえってばぁ!!《独り》は嫌だよぉ!!!』


悲痛な芽衣の叫びが、濃霧の世界で響き渡った。



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