双子の絆と仲間の絆
□本当の第一話
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「おっせーよ、岬!入学早々遅刻しちまうだろ!?」
「しないし。」
岬はフゥッとため息をついた
「今何時?」
「7時」
「入学式は?」
「9時から!」
「そーゆーこと。」
五月はそれでもギャーギャーうるさい。
「だって早く行きてーんだもん!」
「一人で行けば?」
「たった一人の兄を一人にさせる気か!」
朝からやいやいうるさいのは双子の兄の五月。静かに朝食を食べているのは妹の岬。五月は5時に起きて朝食はご飯を5杯おかわりして完食。
この二人の両親は四年前に死んでしまったため、親戚の援助をうけて今は両親と住んでいた家で二人暮らしだ。
「早く真琴と遥に会いてぇのになー。あ!渚も岩鳶なんだってよ!」
「あっそ。」
「反応うっす!もっと何かないの!?」
「別に。」
橘真琴、七瀬遥、葉月渚は小学校が同じで、スイミングスクールも同じだった。
ブスッとしている五月をほっといて岬はモグモグと朝食を食べ続けた。
「岬、行くぞっ!」
皿洗いを終え、学校へ行く準備をすませた岬の手をつかみ、五月は家から飛び出した
「鍵…」
「誰も何も盗まねーって!」
無理矢理に岬の腕を引っ張る五月
「…そんなに急がなくてもいいんじゃない?」
「い、い、か、ら!」
「…まさかとは思うけど走っていく気?」
「そのとーり!」
「学校まで?」
「五キロ!」
「…。」
何を言ったって無駄か。
そう思った岬は賢い。
ー学校到着ー
ついた頃には丁度いい時間になっていた。
「み、岬、あ、明日、から、バス、な!」
「……」
バカは経験しなければわからない。
岬はこのことをよく知っていた。
「クラス見てくる。」
「頼むわ。」
岬は地面にダウンしている五月を残して学生が群がっているクラスの紙がはってある下駄箱に向かった