双子の絆と仲間の絆
□第六話
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あの後家に帰り、布団に入った五月は隣で眠る妹の岬を見た。
五月は夜が嫌いだった。
真っ暗なこの夜が。
母と父を連れて行ってしまった夜が。
「なぁ岬。」
眠っている岬からは何の返事もない。
「お前は母ちゃんと父ちゃんがいなくなってから泣かなくなったな…。」
五月はいつもの明るい声とは違う静かな声でささやいた
「競泳もやめちまった…。俺が夜を嫌いになったみたいに、お前も水が嫌いになっちまったんだよな…。」
五月は不安に押しつぶされそうになった。
「水が嫌いなら、競泳が嫌いならそれでいい。俺が守ってやるから。だから…」
五月の目から涙がこぼれた。
「いなくならないでくれ。俺を一人にしないでくれ…!」
五月は岬の手を握った。
こうしないと夜は寂しくて寂しくてしかたがないのだ。
五月は誰よりも傷つきやすかった。寂しがり屋だった。でもそれを押し殺すようにいっつも笑っていた。
「もうあんなのはいやだ…。いやなんだよ…。」
五月はそう呟いてようやく眠った。