短編

□温もり
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「柳生ー!!」

「またですか。全く、部屋に入るときはノックしてくださいと何度も言っているのに」

「そんなことより聞いてよ!」


こいつは私の幼馴染の柳生比呂士
何かあればいつも話を聞いてもらっている


「わかりました。ひとまずこちらへ」

「ありがとう」


柳生に言われた通りに私の定位置である柳生のベッドに腰掛けた


「それで、何があったのですか?」

「あのね、今日みんなで食堂でご飯食べる話になっただけど
私パン買わないといけなかったから先に行って場所取ってもらってたの
だけど、パン買ってみんなのところに行ったら私の席に荷物が置いてあって
最初は場所取ってくれてたのかなって思ったけど私が席に座ろうとしても
荷物どけてくれなくて邪魔だからその席の隣に座ったの
ほんと考えたらわかるでしょって感じ!」

「そうだったんですか」

「ほんとむかつく!
っていうか最近ずっとイライラするの
どにいても、だれといてもね」

「私といてもですか?」

「柳生は別だよ!
じゃあ、そろそろ帰るね」

「もういいのですか?」

「うん!ありがとう
勉強中だったんだよね?ごめんね邪魔しちゃって」

「いえ、いつものことですから
帰るのでしたら家まで送りますよ」

「大丈夫!すぐそこなんだし
柳生は勉強してて」

「そうですか。では、くれぐれも気を付けてくださいね」

「うん!ありがとう!」


「奏音さん」

「ん?」



ポンッ―――



振り返ると頭に柳生の大きな手の温もりを感じた



「あなたは我慢しすぎるところがあります。
我慢はよくありません。またいつでも来てくださいね」

「う、うん。ありがとう」




「やはり、家まで送らせてもらってもよろしいですか?」

「え、いいよ?」

「いえ、私の気がすみませんので」

「そっか、うん。お願いします」

「はい」







柳生の手、とても優しかったな





---END---

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