GS3長編 設楽聖司×お嬢様(完結済)

□パーティ
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車の中で不機嫌そうに説明された。

どうやら彼の父親が今夜参加予定だったパーティに行けなくなったらしい。



「旦那さまの代理で聖司さまが?」
「男女ペアが決まりだから。母と踊るのは勘弁って思ったんだよ」
「あらあら、まぁ……」



設楽が母親と踊っているところを想像して美奈子は思わず笑った。
決して変な光景ではないが、きっと不本意そうな表情をしているのだろうなと容易に思い浮かぶ。



「一回踊ったらあとは好きに食ってればいいから」
「パーティなんて久しぶりですわ。大丈夫かしら」
「おまえなら問題ないだろ」
「恐縮ですわ」



嬉しそうにそう言って、遠くを見た。

ぽつりと呟く。



「……落ちぶれた家の女だって、気づかれないと良いですけれど」



走行音の中でも彼女の声は耳に届いた。



「聞こえてるんだよ。気にする必要あるか?」
「気のせいですわ。空耳でしてよ」



おほほと誤魔化すように笑い声を上げる。



「おまえの劣等感はしつこい。いい加減に自信を持て。めんどくさい」
「言いますわね。一度負けたくらいでこの前までずうっと引きずってらっしゃった癖に」
「な、」



的確に設楽の地雷をピンヒールで踏み抜いた美奈子は、してやったりと悪戯っぽく笑った。



「……おまえ」
「うふふ」
「絶対に泣かせてやる」
「それは楽しみですわ〜」



そして真っ直ぐ道路の向こうを見つめながら、小さな声で続ける。



「……そうですわね。聖司さまみたいに、わたくしも強くならないと」









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