GS3長編 設楽聖司×お嬢様(完結済)
□知人の知人は他人
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「おかえりなさいませ」
「ああ」
車の横でいつものように美奈子が設楽に微笑みかけた。
「皆さまには喜んでいただけましたか?」
「なにが」
「ホワイトデーでしょう。お渡しになられたのかと」
「……」
聞かれて初めて思い出した。
ショッピングモールで買ったアレを配り回ったから今日はこんなに疲れている。
最早毎年の作業と化しているあのイベントに特段思い入れはない。
相手の反応なんてもっと興味がなかった。
「知らない」
「余計な詮索でしたわね。失礼いたしました。ふふ」
どこか懐かしむような顔をして、美奈子も車に乗り込んだ。
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