GS3長編 設楽聖司×お嬢様(完結済)
□パーティ
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ある秋の日。
練習中の設楽の横で本を開いていた美奈子はいつの間にか背もたれに頭を乗せて眠り込んでいた。
「……んん」
一段落して立ち上がった彼の足音で起きて薄ら目を開けると、眠そうに見上げる。
「ご休憩ですか?」
「ああ……起こしたか」
手で隠しながら大きな欠伸をひとつすると、うーんと腕を緩慢な動作で伸ばした。
隣に設楽が腰掛ける。
「お茶を淹れますわ。少々お待、わ、っ」
そのまま彼が寝転がって、斜めに投げ出した脚に頭を乗せてきた。
「いらない」
「あ、わぁ、っ……聖司さまの、頭っ」
「動くなよ。寝られないだろ」
慌てふためく美奈子の顔を仰向けになって見上げると、彼女は諦めたように眉を下げる。
多分幼少期の母親ぶりに誰かの太腿を枕にした。
悪くない上に、間抜けな寝惚け顔を覗き込むのは面白い。
「下から見られるのは恥ずかしいですわ、およしになって」
「べつにどこから見たって同じ顔だ」
「だって……ふわぁ」
また大きな欠伸をひとつした美奈子は、降ろした手を設楽の頭に添えた。
ふわふわした癖毛を指で撫でて、眠そうに笑う。
そのまま、また背もたれに頬を乗せた。
「まだ寝るのか」
「昨日……夜更かししてしまいましたの……眠いです、わぁ……」
もにゃもにゃと寝言のようにそう答えると静かになる。
そのあとすぐに聞こえてきた息の音に耳を傾けていると、設楽の口からも欠伸が漏れた。
「……うつった」
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