黒子のバスケ

□発情期
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その日は何だか、朝からえっちなことしか考えられなかった。
多分生理が終わってしばらくした頃だから、卵胞期ってやつだと思う。要するに卵子が成長してる期間だから、本能的に男の子を欲してるんだ。
昨日の夜もいっぱい1人でしたのに、朝起きてすぐえっちぃ気分になって。お盛んにも一回だけ慰めてしまった。
我ながらばかみたいだ。

だから、今日は早く帰ろうと思ったのに。



「おいまさか帰る気じゃねーだろーなマネージャー」



笑顔で青筋を浮かべるという器用なことをやってのける幼馴染みでキャプテンでクラスメイトの男の子のせいで、計画は計画に終わった。
そろそろみんな試合を意識し始めた頃で、まさかえろいことしか考えられないんで帰りますなんてことも言えるわけもなく。
体を動かせば収まるかなぁなんてことを考えて、私は渋々、



「か、帰んないよ」
「ふーん?」
「あの……そう、職員室寄ってから行くから」
「あっそ」



帰宅説を否定したのである。










「……つかれた」
「お前今日やたら動いてなかったか?」
「ん……そうだっけ」
「そうだっけって……ん?」
「え?……あ」



立ち止まって空を仰いだ彼を振り返ると、顔にぽつりと冷たい粒。
そして一拍遅れてシャワーのように激しい、雨。



「やべぇぞこれ!走れ!」
「ああもうやだ……」
「名無しさんの家の方が近いよな」
「あ、うん、そうだけど」
「邪魔すんぞ」
「え、っちょっと待っ……順平!」



走り出した彼を追い掛けるのが精一杯だった。
雨はみるみるうちに制服を濡らし、髪を濡らし、きっと鞄の中まで浸透してしまっているだろう。
靴も気持ち悪い。
お風呂、入らなきゃ……。











「うわ、やべぇ……」
「待ってて、タオル持ってくる」
「悪い頼む」



玄関で自分たちの濡れ具合に苦笑する。
全身、ずぶ濡れ。
順平も私も、ワイシャツとセーラーが白いせいで半透明になってて、肌の色がわかるくらい透けてた。
冬じゃなかったからいいけど、流石に風邪引いちゃうかもしれない。
キャプテンで大事な3ポイントシューターである彼を休ませるわけにはいかない、大変だ。



「……はー。落ち着け落ち着け……」



深呼吸して、お風呂場の箪笥を漁る。
バスタオルを引っ張り出して、また深呼吸。

……大丈夫、大丈夫。
こんな緊急事態にまでそんなこと、考えられないって。





「お待たせ」
「おー、さんきゅ」



ああ、やばい。
うずうずしてきた。

半袖から伸びた腕の筋肉や血管、透けたシャツの下の肌色。
鎖骨や首筋まで眺めたところで無意識に喉が鳴った。

どうしよう、順平なのに。
いや別に嫌いって訳じゃなくて寧ろ好き、だけど。
別に特別な感情じゃ無い筈だし付き合ってはいないしそういうこと考えたこともなかったし。
でも、……今は家に2人きりだ。
親はきっと夜にならなきゃ帰ってきやしない。
だったら今一緒にお風呂にでも入ってそのまま私の――ッ、ああああ何考えてんのだめだよ絶対だめ、こんなのまるで思春期の男の



「お前な、自分も髪拭けよ。水垂れてんぞ」
「わ、ひゃぁっ!?」



悶々と考えてたせいで、完全に不意討ちだった。
前からばさっとバスタオルを被せられて、順平にがしがし頭を乱暴に掻き回される。
どくん、と自分の心臓の音が聞こえた。

目の前に濡れた制服があって、血管の浮いた腕が頭に耳に当たって、制汗剤みたいなのと順平の匂いがして、頭ぐらぐら揺れてふわふわして、心臓がきゅうきゅうして。

順平は特別かっこいいって顔じゃないし体格もめちゃめちゃ良いってわけじゃない。
でもやっぱり男の子、だ。
低い声や私より広い肩幅や高い身長。

抱き着きたい。
ぎゅーってして、されたい。

うずうずしてきた。

……あー。
これ、わたしわるくないよね?
しらないしらない、もうだめだ。
だれでもいいや、えっちぃことしよう。
さっきからうずいてだらだらあふれてくるこれをなんとかしてもらおう。



「――順平、」
「ん?ぅ、おッ!?」



向かい合わせで立ってる彼に抱き着く。
濡れた服がぴったり張り付いて、体温でちょっとあったかい。

……ああ、やっちゃった。
もう戻れない。

いいや。
当たってぶち壊れちゃおう。



「ど、どうした、おい」



背中に腕をまわして胸を押し付ければ、みるみるうちに順平が慌てるのがわかった。

そりゃそうだよ。
今までこんなことしたことなかったし、意識すらしてなかったもんね?



「寒いんならさっさと風呂入っ、」
「ねぇ、順平って童貞?」
「ッはぁ!?」
「……そうなんだ、ふぅん」
「おい肯定も否定もしてねーぞコラ」



反応を見る限り図星。
……いける。この調子ならきっと、もう一息。



「名無しさん、離せってんんっ!?」



濡れた頭を引き寄せて、抗議のうるさい口を塞いだ。
唇を押し付けてから舌を割り込ませる。
びくりと順平が震えて無抵抗になった。
目を開けてみれば、真っ赤になった顔で必死に目蓋を閉じていて。
面白いのともっといじめたいのとごちゃごちゃしてきた。



「ん、ぷぁ、っん、……はぁッ」



わざとらしく声を漏らす。
同時に順平の耳や髪に触れたりなぞってやれば、私が押し付けて掻き回しているだけだった舌に彼のも絡まり出した。
ざらざらしてぬるぬるで、擦り合わせた表面から溶けてしまいそうだ。
……きもちいい。

触ってほしい。
私の耳も髪も首も、胸も腰も脚も、その間の奥も。
きゅんきゅん疼く下腹部がもどかしくて、太股を擦り合わせる。



「順平、部屋行こ?」
「……っ」



手の甲で口を抑えた順平が私をちらりと見て、すぐ逸らしてしまった。











「もっとちゅーして」
「ッ」
「もっと、……触って?」



順平の手をつかんで、胸に押し当てる。
透け透けのセーラーには下着の形まで浮いてて、淡く色がうつっていた。

ベッドの上で向かい合わせになって、まるでこれから初めてを迎える恋人同士みたいだ。
恋人じゃないけど私も処女だしあながち間違いでもないか。



「お前、そんなキャラ、だったっけ」
「そんなってどんな?」
「……そんなエロかったかっつってんだよ」


じとりと睨まれて笑ってしまった。
……私のキャラは私以外にしかわからないと思うんだけど、そう言うってことはそうじゃないんだろう。
確かに男の子との噂もないし、イメージはないのかもしれない。
それにいつもはこうじゃない。
時期が悪くてタイミングも悪かっただけ。
そう、つまり。



「ううん、順平のせいだよ」
「――ッ!」
「だからほら、責任取って?」
「…………」
「?」



目を見開いた彼は直後、俯いた。
肩が揺れている。

……どしたのかな。



「順平?」
「……、……ぞ」
「へ?」
「お前思春期男子舐めてんじゃねーぞダァホがぁぁ!」
「きゃあっ!?」



がばりと押し倒された。
え、わ、力強い……!



「ああクソなんなんだよさっきからお前可愛いことばっかしやがって」
「か、可愛い?」
「おー可愛い可愛い超可愛い。クラスのやつら全員落とせるな」
「落とす……?」
「マジでふざけんなよ家で雨宿りってだけでこっちはテンション上がってるってのに抱き着いてくるわキスするわ舌入れるわ胸当てるわ何なんだよお前俺を殺したいのか?ああ?」
「えへ、顔真っ赤だったね」
「うるさい黙れ」
「いいよ、黙らせて」
「…………」



クラッチタイムの如く口の悪くなった順平は頭をがしがし掻きむしって、だはぁと大きく息をついた。











「ん、んちゅ、ぷぁっ、んんぅ、」



じゅるじゅる、にちゃにちゃ。
そんな卑猥な音ばっかり聞こえる。
あと、自分の心臓の音。順平の息。

ぐるりと舌を這わせてから口に含んで、根元の方は唾液を絡めてごしごし擦る。
お世辞にも美味しいとは思えない味だけど、私は自分がどんどん興奮してじゅくじゅくに濡れてくのがわかった。

はやく、はやく中に欲しい。
きっと指なんかよりずっと太くて固くて、奥まで届くんだろう。
一番奥のこりこりしたところを突いて、ずりずり動かしてほしい。絶対絶対きもちいい。

もう、えっちなことしか考えられない。
堪らなくて、順平のを舐めながら空いた手を下へ伸ばした。
脚の間、とっくに蕩けきって熱いそこへ自分の指を差し込む。
親指で敏感な突起を押し潰して入れた指を動かせば、自然と腰が揺れて鼻にかかった甘い声が漏れた。



「っはぁ、ふ、順平ぇ、これ、いれたいっ……!」
「ッ、」
「待ってて、ちゃんと持ってる、から」



自分でも性急だと思う。
でも止まらない。

順平に背を向けて引き出しを漁る。
きらきらした箱。
ビニール包装に爪をひっかけて無理矢理開封して、濡れた手でアルミの袋をひとつちぎった。



「何で持ってんだよ……」
「えへ。初めてだよ、使うの」
「……おう」



ぼやけた思考で思い出して、辿々しいながらにくるくる付けてあげる。
うん、なんか間抜け。

ごくん、と喉が鳴る。



「上、乗ってもいい……?」
「マジで?」
「……だめ?」
「っ、駄目じゃねえよ!ああもう……好きにしろ!」



ダァホダァホと言いながら順平はごろんとベッドに仰向けになった。

もうお互い何も着てないから、ぜんぶ見えてる。
私のえっちぃ顔も、順平の照れた顔も。
恥ずかしいより欲求が勝ってるから、構わずに彼の身体を跨いだ。

とろとろに溶けたそこを、順平のそれに落とす。
ゆっくり、ゆっくり。



「っはぁ……すごい、ぬるぬる」



ぷちゅぷちゅと擦れる度に音が鳴って。堪らないぞくぞくが背中を駆けた。
処女は痛いって言うけど、きっと大丈夫だ。
昨日も今朝も指入れてたし、こんなに蕩けきってるんだもん。
痛くてもいい。
気持ちいいの、早くほしい。



「ふ、っぁ、あ……〜〜〜!!」



躊躇っても仕方ないと、思いきり腰を落とした。
ずん、と奥まで順平のもので貫かれる感覚。
びりびり電流みたいな快感が背中を這いずって、脳で弾ける。

流石に指より太くてちょっとキツいけど、膣の中がいっぱいになる感覚なんて初めてだ。
掻き回せないから、抜き差しするしかない。



「は、っぁ、やぁ、きもちい、これやだぁっ!」
「うぉ、ちょっ、お前な……!」
「気持ちいい、お、奥っ、入ってるの、すごいぃっ」



がつんがつんと奥のこりこりしたところを突くたびに変な声ばかりが漏れて、腰が止まらない。
今日ずっと欲しかったものが私の中で動いてる。
こんなの、こんなの、1人でするよりずっと気持ちいい。
がくがく腰が揺れて止まらない。



「はぁっ、やだ、止まんないよぉっ!気持ちいっ、順平ぇっ」
「ぅ、あッ」
「順平、順平もっ、好き、っ?ねぇ、私の処女おまんこ気持ちいいっ?」
「〜〜〜ああったくクソ、んなエロいこと喋んなダァホ……っ!!」
「ふぁあっ!?」



ぐぢゅん、と奥まで突きいれた瞬間。
中のそれがびくっと大きく脈打つのがわかった。
……うそ。



「いっちゃった……?」
「……黙れ」
「うふふふ」
「笑うな!」



順平、可愛い。
出してもまだ固いままで、まだいけるかなぁなんて考えながら引き抜く。



「付け替えたげる」
「は?」
「まだできるでしょ?」
「……ハァ」



順平が怒ったように眉を寄せた。
意味ないことくらい、知ってるくせに。



「それにまだ私、いってない」



覆い被さって耳元で言う。



「お願い……順平、いかせて?」



胸を押し付ければ、つんと尖った乳首が擦れて気持ちよかった。

ごくんと今度は順平の喉が鳴って、肩を掴まれたかと思うとあっという間に上下が逆転してしまう。
脚の間に身体を割り込ませた彼が私を見下ろして、ちゅっと唇を重ねてきた。



「知ってたか?」
「なにを?」
「俺、ずっとお前のこと好きだったって」
「……え?」
「何回もお前とこういうことすんの想像してたって」
「……そうなの?」
「……お前知ってたから煽ったんじゃねえのか」
「知らなかった」
「誰にでもしてんじゃねーだろーな」
「ううん、順平が初めてで順平だけだよ」
「またそういう殺し文句を……」



呆れた顔で溜息をついて、私の脚を掴んだ。











「ふーん、女子も大変だな」
「だからね、これからは毎月手伝って」
「……はいはい」
「いーっぱい気持ちよくなろーね、順平っ」
「ッ!」
「あいたっ、もー、何で叩くの」
「黙れダァホ」
「あ、顔赤い」
「うるせぇ犯すぞ」
「え、いいよ」
「はっはー言ったな?」
「言っちゃったー」
「……バカップルか」
「いいよ、付き合おっか」
「順序逆だよな」
「だいじょーぶだいじょーぶ」










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