黒子のバスケ

□発情期2
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……エッロい顔してんなぁ。
そういえばそろそろそんな時期だしまた変なこと考えてんじゃねえのか、アイツ。


授業中。
斜め前の名無しさんは俯いてて、明らかに教科書に焦点を合わせていないかった。
口は小さく開いてるしずっと唇を触ってる。
それに脚をうずうずと擦り合わせていた。

付き合うまで、いやその前にあの雨の日。
アイツに襲われる(?)までは少なくともそんな奴だと思ったことはなかった。
どっちかと言えばその逆。
そういうことに興味なさそうな、ふやけたようにぼけっとしてる奴。
顔は可愛いしマネージャーでリコより料理ができるから男にも人気が少なからずある。
そいつらもアイツを清純だの清楚だの大和撫子だの言ってるし、周りの評価もそうなんだろう。

まぁ、知ってる奴が他にいるってのは困るから構わない、が。
思春期男子のロマンというか理想的すぎて困る時がある。
気づかないうちに俺は名無しさんにベタ惚れだった。
普段は真面目で時々天然な清楚系なのに、俺の前ではなんというかその、発情した猫みたいにニャーニャーニャーニャー鳴きまくる所、とか。
よく見ればやっぱり可愛いし、何より幼馴染みだから親も家に招いたって変な顔ひとつしない。



……ん?



チャイムの音。
あれ。

……おいおい俺何分名無しさんのこと考えてた?
なんで黒板埋まってるのにノート真っ白?
あっれぇぇ?

あ、やべ……あ゛ー、消された。











「ノート?いいよ」
「おお、サンキュ」



はい、と軽く渡される。
……こいつエロ妄想してた癖にちゃんと取ってやがった。



「で?何考えてたんだよ」
「なにって?」
「授業中。お前すげーエロい顔してたぞ」
「………………………………し、してないよ」
「いーやしてた」
「してない。そういう順平は何で私見てたの」
「うっ」



痛いところを突かれた。
互角。



「いいだろ別に」
「じゃあ私もいいでしょ」
「……はー」
「勝った」
「引き分けだダァホ」











「ん、っふ、ぁっ、ぷぁ」
「は……もっと口開けろよ。やりにくいだろが」
「開けてるよぉっんむ、……はぁっ、ん、んんっ」



放課後。
部活も終わって誰もいない部室。

最後の1人が出ていって気配も消えた瞬間に抱き着かれた。
汗かいてるっつっても聞かないから、仕方なく応じる。

引き剥がして両手でちっせぇ顔を挟んだら、15センチの身長差に感動した。
なんて考えてるとこにせっかちな名無しさんの方から引き寄せられてキス。
勿論可愛らしいモンで終わるわけもなく、その内脚の力が抜けてずり落ちそうなコイツを支える為に壁を使うことになった。
太股の間に膝を突っ込んでやれば、名無しさんの足がちょっとばかり浮く。
そのままぐりぐり圧迫してみたら案の定予想通りの声が合間に漏れてきてにやけた。

付き合って色々あって早数ヶ月。
お互いのことは知り尽くした感じがする。
元々性格は腐るほど知ってたんだから、身体を知るのに苦労はしなかった。
……まぁ、頻度が健全と言い難いから当たり前っちゃ当たり前だが。
遠慮なく良いだの悪いだの言い合ってたら、いつの間にやらぴったり噛み合うみたいに反応やタイミングが思い通りに合うようになってた。
この前童貞と処女のセックスを経験した奴らじゃねえな。いやホント。



「やぁ、ぐりぐりしないで……ひぅっ!」
「何でこんな湿ってんだよ」
「あぅう、だって順平ちゅー上手なんだもんっ」
「……は」
「私が無理矢理奪っちゃったのついこないだなのにっ、ん、ッひもひよくなっひゃうんらもん、んんーっ」
「だぁあもう黙れお前!」



後半塞ごうと思ったのに言い切りやがった。

クソだ。
……同じこと、考えてた。

耳の辺りが熱い。
勘弁してくれ。
また照れてるとか言われちまう。



「えへへ」
「何だよ」
「……んちゅ」
「!!!」



いつもなら耳赤いようふふとか言うくせに。
名無しさんは俺の耳をつついてから、ちゅぅっと口付けた。

……言われるより恥ずかしかった。
何なのマジで殺したいのか?



「あ、つーか下校時間」
「大丈夫だよ。いっつもしっかりしてるから先生は信頼して見回り来ないから」
「まぁリコがやってるしな」
「それに私この前いい抜け道見つけた」
「抜け道?」
「グラウンドのフェンスに穴空いてたの。あそこから出ればだいじょーぶだいじょーぶ」
「……ホントに大丈夫かそれ」



いいのいいのと急かすように顔を近付けてくる名無しさんは火照った頬を緩ませまくって、潤ませた目で俺を見る。
……まぁ、いいか。
電気は消えてるし体育館を閉める音も聞こえた。開けっ放しだとしても明日少しばかり早く朝練に出向けば問題ないだろう。……たぶん。



端から見ればきっと積極的な女に渋々応じる男、とでもうつるのだろうが、そんなことはない。
俺は名無しさんに惚れてるし、付き合うずっと昔からこうなることを望んでいた。
ただちょっとばかり俺が戸惑って奥手だっただけなのである。


……とまぁ色々言い訳っぽいのだがとりあえずこいつ可愛いんだよクソと締めておこう。










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